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ロシア、ベラルーシに戦術核兵器の配備で合意

(更新)

ロシアのプーチン大統領は25日の国営メディアのインタビューで、ベラルーシに戦術核を配備することで同国と合意したと述べた。7月1日までに保管施設を建設する予定としている。ウクライナ侵攻で苦境が伝わるなか、米欧諸国へのけん制を一段と強める狙いとみられる。

プーチン氏は「米国は何十年も前から戦術核を(欧州の)同盟国に配備してきた」などと述べ、米国への対抗措置だと強調した。ベラルーシのルカシェンコ大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟国への戦術核兵器の配備を懸念し、合意に至ったという。

実際に戦術核をいつ配備するのかなどには触れなかった。「核兵器に関する国際条約に違反しない」との考えも示した。配備する戦術核兵器はロシアが管理し、ベラルーシに譲渡はしないとした。

ベラルーシは2022年2月の憲法改正で「自国領を非核地帯とし、中立国を目指す」との条文を削除、ロシアの核兵器が配備可能となっていた。

プーチン氏はロシアによる支援で、核兵器を搭載できるベラルーシ空軍機10機が配備されていると明らかにした。核弾頭を搭載できる弾道ミサイル「イスカンデル」もすでにベラルーシ国内に配備されている。

戦術核兵器は核兵器の中では比較的小型で射程は500キロメートル以下とされる。ベラルーシはウクライナの北側に接しており、ウクライナに戦車などの支援を進める米欧諸国へ対抗する考えを一層あらわにした。

米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は25日の声明で「ロシアの発表に関する報道を把握しており、影響を注視していく」と強調した。「我々の戦略核態勢を調整する理由はなく、ロシアが核兵器を使う準備をしている兆候もない」と言及した。

米国務省の報道担当者は戦術核配備に関し「ロシアとベラルーシはこれをするとしばらくの間話していた」と指摘。プーチン氏の発言に新しさはないとの見方を示唆した。

25日は、ベラルーシのルカシェンコ政権に反対する同国の民主派が重視する「自由の日」にあたることに触れ「(戦術核の発表は)政治的なシグナルかもしれない」とした。核兵器の持ち込みをちらつかせ、民主派に圧力を強める狙いがあるとの分析だ。

プーチン氏はまた、英国のウクライナへの劣化ウラン弾の供与について危険性を指摘した。プーチン氏は21日にも劣化ウラン弾が「核を成分とする武器だ」と懸念を示し「(使用が)現実になれば、ロシアはしかるべき対応をとらざるを得なくなる」と述べていた。劣化ウラン弾を巡ってはショイグ国防相も「核による軍事衝突に近づくことになる」と批判を強めていた。

英政府は敵の戦車の装甲を貫通できる劣化ウランを使用した砲弾をウクライナに供与することを認めている。国連の関係機関は劣化ウランを使用すると、粉じんが肺などの臓器に入り、健康被害が出る恐れがあると指摘している。

英国防省は劣化ウランは「標準の(砲弾の)材料であり、核兵器とは何の関係もない」と反論している。「科学者の調査で人体や環境への影響は低いと評価されている」と説明し、ロシアが故意に誤った情報を流布していると説明した。

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