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スロベニア議会選、左派新党が勝利 ヤンシャ政権退陣へ

(更新)

【ロンドン=細川倫太郎】欧州連合(EU)加盟国の中欧スロベニアで24日、議会(下院)選挙の投開票が実施され、中道左派の新党「自由運動党」の勝利がほぼ確実になった。ヤンシャ首相率いる右派の現政権は報道の自由を脅かしているとの批判から国民の支持を失い、退陣する可能性が高くなった。法の支配などを巡ってヤンシャ政権と対立してきたEUには追い風になる。

同国の選挙管理委員会は同日夜までに開票をほぼ終えた。自由運動党の得票率は約35%に達し、民主党(約24%)は大きく引き離された。自由運動党は単独過半数には届かず、他党と連立協議を始める。

自由運動党は国営エネルギー会社の元経営者ゴロブ氏が率いる。地元メディアによると新型コロナウイルスに感染した同氏は24日、オンラインで支持者に「人々は変化を求めた。私たちに寄せられた信頼に応えるべく懸命に働く」と勝利宣言した。連立交渉がうまくいけば、同氏が新首相になる可能性が高い。

自由運動党の勝利は、ヤンシャ政権への批判票を取り込んだことが要因だ。首都リュブリャナで投票しロイター通信の取材に応じた有権者のミレナさんは「こんな政治家にもう政権をとってほしくない。あらゆる面で絶望的だったので、新しい顔を望んでいる」と語った。

ヤンシャ氏は強権的な政治手法で知られ、トランプ米前大統領への強い支持を表明してきた。意に沿わない国営通信社への資金供給を停止したり、SNS(交流サイト)で報道機関やジャーナリストを批判するなど、メディアへの圧力を強めていた。司法の独立も脅かし、民主主義や法の支配を重視するEUと度々衝突していた。

自由運動党は化石燃料からの脱却や企業の二酸化炭素(CO2)排出削減の支援など、環境対策の強化を前面に打ち出してきた。有権者の関心が高い気候変動対策を政権公約に据える戦略が奏功した。もっとも、ゴロブ氏の政策実行力や指導力は未知数で、連立による安定政権を築けるかは不透明だ。

スロベニアは2004年にEUと北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。ヤンシャ氏は3月中旬、ロシア軍の侵攻を受けるウクライナの首都キーウ(キエフ)で他の中欧の首相とともにゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナに寄り添う姿勢をアピールした。ただ、個人的にはゼレンスキー氏とは不仲とされ、「選挙対策」との指摘も出た。

ゴロブ氏はEUの対ロシア制裁を支持しており、ウクライナへの軍事支援についても一段と強化する見通しだ。EUはここ数年、中・東欧諸国との対立が目立ってるが、EUの立場に同調する新政権の発足は追い風になる。21年10月のチェコの総選挙でも「チェコのトランプ」と呼ばれたバビシュ前首相の与党が敗れ、新政権が親EU路線に回帰した。法の支配の軽視などが問題視されてきたポーランドも、ウクライナ難民を積極的に受け入れることでEUへの協調姿勢を見せる。

ハンガリーは例外で、独自の立場を貫いている。4月上旬の選挙では強権政治を進めるオルバン首相率いる与党が勝利し、続投を決めた。同氏はロシアのプーチン大統領とも親密で、欧米がウクライナに供与する武器について自国内を通過させることを拒んでEUの足並みを乱している。

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