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WHO、加盟国分担金5割に引き上げ 感染対策機動的に

【ウィーン=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)の総会は24日、予算全体に占める加盟国からの分担金の割合を2030~31年までに50%に引き上げる計画で合意した。使途が指定される寄付以外の自由に使える予算を増やし、新たな感染症などに機動的に対応できるようにする。WHOの組織改革が一歩前進したが、権限拡大など課題はなお多い。

「歴史的な瞬間だ」。WHOのテドロス事務局長は分担金の割合の引き上げは、WHOの資金調達や組織を変えると歓迎した。

WHOが2年単位で組む予算のうち現在の分担金は2割弱で、AFP通信によると、9億5700万ドル(約1200億円)にとどまる。残りは民間の慈善団体などからの寄付に頼る。寄付は使途が決められているケースが多く、自由に使えないという欠点がある。WHOは慢性的な財政難に直面し、自由裁量で使える資金確保が課題だった。

加盟国が分担金の増額を承認した背景には、新型コロナウイルスの教訓がある。19年末には中国で感染拡大が起きていたが、WHOの初動対応の遅れや調査能力の不足が事態の深刻化を招く一因となった。大量のデータを迅速に収集し、分析する専門家や設備を拡充するために、WHOの資金を増やす必要があるとの声が多くなっていた。

具体的な使途の検討はこれからだ。加盟国からはWHOに対し「それぞれの費用について、より良い情報を得る必要がある」(カナダ)と説明責任を求める声が出た。

24日にはテドロス氏の再選も決まった。8月から任期5年の2期目に入る。

次のパンデミック(世界的大流行)に対する備えは、テドロス氏の2期目の大きな課題になる。その1つの柱がWHOの権限の拡大だ。例えば、現状のルールでは加盟国の同意がなければ現地調査はできない。中国でのコロナの調査は感染拡大から1年以上が経過し、いまだにウイルスの起源は解明できていない。

公衆衛生対策は世論に直結するだけに、多くの国はWHOの権限が強まることに及び腰で、議論は難航する可能性が高い。WHOは新たな国際ルール「パンデミック条約」の創設を検討しているが、成果がまとまるのは早くて24年とみられている。

足元では、欧米で天然痘に似た感染症「サル痘」の報告が相次いでいる。アラブ首長国連邦(UAE)の保健予防省も24日、患者を初めて確認したと発表し、中東にも広がりつつある。天然痘よりも感染力は弱く爆発的に拡大するリスクは低いとみられているが、感染経路が不明な患者も多く、予断は許さない。

コロナ禍もまだ終わっていない。WHOは今年半ばまでにすべての国でワクチン接種率を7割とする目標を掲げるが、達成したのは高所得国を中心とした57カ国にとどまる。感染力や毒性が強い変異型が出現するリスクは残っている。

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