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英金融界、気候変動で損失53兆円も 初のストレステスト

【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は24日、英大手金融機関の気候変動リスクを測るストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。政策対応が全くなされず地球温暖化が最も過酷に進むケースでは、2050年までの累計で3340億ポンド(約53兆円)の関連損失が生じるとの推計を示した。

英国での気候変動をテーマとする金融機関ストレステストは初めて。英国内で展開する銀行・保険大手19社を対象に、温暖化が事業や財務に及ぼす影響を探った。個社の分析は開示しない。

ストレステストは温暖化防止の政策対応を巡り、①早期に実行②実行に遅れ③全くない――の3つに分けて分析した。対策がとられず温暖化が放置されるケースでは、50年までに地球の平均気温が産業革命前より3.3度高まると想定した。

最も厳しいシナリオでは今後30年間に銀行で600億ポンド、保険会社で2740億ポンドの損失が気候変動関連で生じる。銀行では融資先の事業環境悪化で与信コストが増える。保険会社は株式など運用資産の悪化に加え、温暖化に起因する自然災害への保険金の支払いがのしかかる。

温暖化対策が進む場合でも損失の規模は小さくない。30年間の推計損失は早期実施のシナリオで2090億ポンド、実施が遅れるシナリオでは2890億ポンドとされた。

銀行では政策対応が早期に進めば850億ポンドだが、実行が遅れるシナリオでは1100億ポンドで約3割重くなると推計した。温暖化ガス排出量の多い企業向け融資の劣化が見込まれる。対策が後手に回るほど経済全体への悪影響が強まり、住宅ローンの焦げ付きなどリテール(小口)分野のコストも重くなるという。

温暖化対策が全くなされないケースでは銀行の推計損失は600億ポンドとした。対策ありの場合より小さいのは、温暖化ガス排出量価格の上昇を想定せず、悪影響は推計期間の50年までよりも後に顕在化すると考えられるからだ。

イングランド銀は英金融システムの耐性について「全体としては損失を吸収できる」とみている。だが関連するリスクには不確実性が大きいと指摘し、気候変動への積極的な取り組みを続けるよう求めた。

気候変動ストレステストは21年中の結果公表が当初予定されていたが、新型コロナウイルス禍への対応を優先するため延期されていた。

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