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トルコ、シリア再攻撃検討 北欧NATO加盟で駆け引きも

トルコがシリアへの越境軍事作戦を検討している。国境付近からクルド系武装勢力を追い出すのが目的で、ウクライナ侵攻中のロシアがシリアで影響力を低下させている空隙を狙う。北欧2国の北大西洋条約機構(NATO)加盟問題を抱える米欧も難しい対応を迫られそうだ。

「国境沿い30キロの『安全地帯』の残りについて、近く新たな措置を取る」。エルドアン大統領は24日、シリアへの越境軍事作戦の再開を示唆した。26日の国家安全保障会議で協議するとしている。

トルコは2016年以降、計3回の大規模な越境攻撃をしかけ、一部地域を占領している。国境のシリア側に幅30キロの「安全地帯」を設け、クルド系武装勢力を排除する狙いだ。「安全地帯」は東西に分断されており、次の目標はその間にあるユーフラテス川以東の地域になるとみられる。

エルドアン氏は昨秋も同様の軍事作戦を検討していた。実現しなかったのはシリアに影響力を持つ米国やロシアとの調整がうまくいかなかったためとみられる。だが、ロシアのウクライナ侵攻を境に力関係には変化が生じている。

トルコが19年に3度目の侵攻作戦を実施した際、NATO同盟国である米欧は一斉に非難し、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦でクルド系武装勢力と共闘する米国は鉄鋼関税引き上げなどの制裁を科した。非加盟国のスウェーデンやフィンランドもトルコへの武器輸出禁止・制限を打ち出した。

トルコはクルド系武装勢力の脅威を理解してもらえないとして不満を募らせ、スウェーデン、フィンランドが今月、NATOに加盟申請すると反対を表明した。シリアへの軍事作戦浮上の背景には、北欧2カ国の加盟を後押しする米欧に対してクルド問題で譲歩を迫る狙いもありそうだ。

米国のプライス国務省報道官は25日、エルドアン氏の発言について「深い懸念」を示す一方、「トルコの正当な安全保障上の懸念は理解する」と気を使ってみせた。

越境攻撃はシリアの主権侵害にあたるが、アサド政権の後ろ盾であるロシアもトルコに反対しづらくなっている。欧米から経済制裁を受けるロシアにとって、制裁に参加しないトルコは安定した輸出先や代替の調達拠点などとして重要性を増した。

ロシアはシリアへの関与も薄めている。独立系メディアのモスクワ・タイムズなどによると、ウクライナに戦力を集中させるため、一時は6万人超の規模だったシリア駐留部隊を引き揚げ始めた。撤収後の拠点には同じくアサド政権を支援するイランが入っている。

米ロの双方に対して立場を強めるトルコが実際に越境攻撃に踏み切るかは不透明だ。70%もの高インフレで支持率の低下に苦しむエルドアン氏にとって、クルド系武装勢力の掃討は国民的な支持を集めやすい。半面、軍事作戦はさらなる通貨安やインフレにつながる恐れもある。

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