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中東各国、対立棚上げ UAE首脳が10年ぶりトルコ訪問

米関与低下で力の空白 

【イスタンブール=木寺もも子、ドバイ=岐部秀光】中東諸国の間で関係の雪解けを演出する動きが広がっている。24日にはアラブ首長国連邦(UAE)とトルコが10年ぶりに公式の首脳会談を行った。米国が地域への関与を低下させるなか、各国は対立の棚上げを迫られている。

UAEの事実上の指導者であるアブダビ首長国のムハンマド皇太子は24日、トルコの首都アンカラで同国のエルドアン大統領と会談し、関係改善や経済協力について協議した。UAE側はトルコへの投資として100億ドル(約1兆1500億円)のファンド設立を表明した。

皇太子は会談後、ツイッターで「両国を豊かにする協力関係の新たな地平を開くのを楽しみにしている」などと述べた。11月に入って対ドルで3割近く下落していたトルコの通貨リラは、前日比で一時、10%反発した。

ムハンマド皇太子のトルコ訪問は2012年2月以来、約10年ぶりだ。11年に広がった中東の民主化運動「アラブの春」以降、関係は冷え込んでいた。トルコが運動を支える大きな力となったイスラム原理主義勢力「ムスリム同胞団」を支援するのに対し、UAEは同胞団を体制への脅威として敵視する。

20年は新型コロナウイルスの感染拡大後、両国間の直行便は半年以上も停止した。UAEでは公共事業などから多くのトルコ企業が締め出され、トルコ建設業者連合によると、08年ごろまで年20億ドル規模だったUAEでの建設ビジネスはこの数年、10分の1程度に縮小していた。

UAEなど湾岸のアラブ諸国には周辺国との対立を放置できない事情がある。中東の安全保障に深く関与してきた米国は対中戦略を重視する。より自立した外交・安全保障体制を築く必要に迫られている。世界が脱炭素へと急速にカジを切り、産業の多角化も待ったなしの課題だ。

UAEのアブドラ外務・国際協力相は11月、11年に内戦が始まって以来はじめてシリアを訪問し、同国のアサド大統領と会談した。断交状態にあるサウジアラビアとイランも水面下での対話を進めている。

20年にUAEなどと国交を正常化したイスラエルはイラン包囲網を強化する観点からアラブ諸国との融和の範囲をひろげようとしている。

トルコは外交的な孤立への焦りがある。ほとんどすべての近隣国と外交問題を抱え、北大西洋条約機構(NATO)同盟国の米欧とも溝が広がる。トルコの強権体制を問題視する米国のバイデン政権は12月に開く「民主主義サミット」の招待国からもトルコを除外した。

もっとも、対立してきた中東各国が急にお互いを信頼しはじめたわけではない。米国の撤退で中東の勢力図が塗り替わる可能性を警戒し、疑心暗鬼のなかでひとまず各国に和解のシグナルを示している可能性が大きい。

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