ドイツ、ウクライナに主力戦車供与か 現地報道

【ベルリン=南毅郎】ドイツメディアは24日、ショルツ首相がロシアの侵攻を受けるウクライナに独製主力戦車「レオパルト2」を供与する方針を固めたと伝えた。ポーランドなどが自国で保有する戦車の供与を表明したが、再輸出には製造国ドイツの承認が必要で判断が焦点になっていた。ドイツの保有戦車だけでなく、他国の供与も認める方向という。
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独誌「シュピーゲル」(電子版)が伝えた。独連邦軍が保有する在庫から供与し、中長期的には防衛関連企業が持つ分の追加提供も視野に入れるという。具体的な台数や時期は現時点で判明していない。
レオパルト2を巡っては、ウクライナがロシアから国土を奪還するために供与を求めてきた。隣国ポーランドは自国で保有する同戦車の提供を表明したものの、ドイツの承認がなく実現していなかった。24日までにポーランドがドイツ政府に対して正式に供与を要請したことで決断を迫られていた。
米ブルームバーグ通信によると、25日にもショルツ氏がポーランドに対してウクライナへの戦車供与を承認する予定という。
英国の国際戦略研究所(IISS)によると、レオパルト2は欧州大陸でおよそ2000両が配備されている。ポーランド以外にもフィンランドが自国の保有分を供与する意向を示しており、スペインなど他の欧州諸国も多く保有する。ウクライナ側は100両以上の戦車供与を求めている。
今回の戦車供与を巡っては、ドイツの判断が遅れたとして独国内外で批判も高まった。20日には約50カ国の国防相らによる国際会議を開催したものの、供与の決断を先送りした。ショルツ氏は22日にフランスのパリでマクロン大統領と会談した際も「今後も同盟国と連携する」と述べるだけで具体的な言及を避けた。
ショルツ氏は米国に対し、主力戦車「エイブラムス」をウクライナに提供するのならレオパルト2を供与する用意があると伝えたとされる。ドイツ政府は単独の支援ではなく、北大西洋条約機構(NATO)と連携して合意に至れば主力戦車を供与できると条件を示していた。
同盟国のフランスは仏製主力戦車「ルクレール」の供与について「何も排除しない」(マクロン氏)としている。慎重だったドイツが提供に動くことで同盟国の支援がどこまで広がるかも注目になる。
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