ゼレンスキー氏、兵器の早期供与訴え ロシアはけん制

【フランクフルト=林英樹】ウクライナのゼレンスキー大統領はこのほど、欧州連合(EU)首脳会議でのビデオ演説で「迅速に兵器を供与し、ロシアに追加制裁を科さない限り、戦争は何年も長引くことになるだろう」と各国に支援強化を訴えた。首脳会議は同日、今後1年間でウクライナに100万発の弾薬を供与する支援策を新たに承認した。
ゼレンスキー氏は南部ザポロジエで22日、ロシア軍のミサイルが集合住宅に着弾し、30人以上が死傷したことに触れ、「テロ行為から国民を守ることができる長距離ミサイルの供与を遅らせてはならない」と語った。同氏は射程300キロメートル級の地対地ミサイルなどを求めているが、欧米はロシア本土が射程に入る長距離砲の供与に慎重な姿勢を崩していない。
スロバキアは23日、予定している旧ソ連製の「ミグ29」戦闘機計13機のうち、最初の4機をウクライナに引き渡したと明らかにした。ポーランドもすでに同機4機の供与を決めている。戦闘機はロシアの長距離ミサイルの迎撃に活用できる。
ゼレンスキー氏はスロバキアの支援に謝意を伝えた。一方、供与を先延ばしにする「合理的な動機」がないとも述べ、飛行性能や攻撃力でミグ29を上回る、米国の「F16」など最新鋭戦闘機の供与を改めて求めた。
ロシア側は欧米の支援拡大をけん制する。ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は24日に公開された国営メディアのインタビューで「ロシアが戦っているのはウクライナではなく北大西洋条約機構(NATO)の軍隊だ」と反発した。
さらに同氏はロシアが一方的に併合したウクライナ領について「国境から70〜100キロメートルを、あらゆる兵器の使用を禁止する緩衝地帯として設定する必要がある」との考えを明らかにした。緩衝地帯にできなければ「キーウ(キエフ)や(ウクライナ西部)リビウまで侵攻しなければならない」と語った。

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
■戦況
■マーケット・金融への影響
■ビジネスへの影響