ウクライナで洋上火力発電 トルコ企業が地元政府と交渉

【イスタンブール=木寺もも子】ウクライナの電力不足が深刻化するなか、トルコ企業が洋上の発電船から約100万世帯分の電力供給を検討している。ウクライナの国営電力会社ウクルエネルゴや南部オデッサ州政府と交渉中という。実現に向けては船舶や人員の安全確保が課題になる。
トルコの複合企業、カラデニズ・ホールディングで発電船事業を率いるゼイネプ・ハレズィ取締役が日本経済新聞の取材に明らかにした。
重油を燃料とした発電を想定し、2~3隻で計300メガワットの供給を検討している。日本などでは一般的に約10万世帯分の発電量に相当するが、ウクライナでは緊急対応として最低限の電力を100万世帯に供給することを目指す。費用や技術的な問題でウクライナ側と交渉中で、合意できれば3週間以内に供給を開始できるという。
冬の寒さが増すなか、ウクライナではロシアによる発電所などへの攻撃で電力不足が深刻化している。ウクライナ当局によると、電力供給能力の半分が失われた。ウクライナは日米欧などの各国政府や企業に発電機などの支援を求めている。
ミサイルや機雷による攻撃を受けかねないウクライナ近海への航海には安全面の課題がある。ウクライナ産の穀物輸出再開にあたっては国連などが仲介し、ロシアが貨物船の安全を保証することで合意した。ハレズィ氏は「同様の仕組み」が必要だとの認識を示したが、ロシアが応じるかどうかは不透明だ。
カラデニズ・ホールディングは36隻の発電船を保有する洋上発電のトップ企業で、自前で発電所を建設するのが困難なアフリカや島しょ国などを主な顧客としている。液化天然ガス(LNG)を燃料とする洋上発電事業では商船三井と提携関係にある。

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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