/

トルコ、通貨暴落で混乱 商取引一部停止 反政府デモも

【イスタンブール=木寺もも子】急激な通貨安に見舞われているトルコで混乱が広がっている。23日に一時、対ドルで前日比15%超下落すると、リラ安に伴う物価の高騰を見込んだオンライン販売など一部の商取引が停止した。首都アンカラなど複数の都市では、強権体制下では珍しくなった反政府デモも起きている。

「政府は退陣しろ」。反政府系紙ジュムフリエトなどによると、23日夜、首都アンカラや最大都市イスタンブールなどで、政府や与党の対応に不満を募らせた若者らによるデモが起きた。動画などでみる限り、それぞれのデモへの参加者は数十~数百人程度と小規模だが、反体制派の拘束などが相次ぐ近年のトルコで明確に反政府を掲げるデモは異例だ。

デモは急激な通貨安への危機感から起きた。通貨リラは23日、対ドルで一時、前日比15%安の1ドル=13リラ台半ばまで下落した。年初からの下落幅は4割を超え、11月に入ってからだけでも3割近くリラ安が進んでいる。1日の最大下落幅は2018年の通貨危機「トルコショック」時を超えた。

リラの暴落で、経済活動でも混乱がみられた。経済紙デュンヤなどによると、中古車のオンライン販売市場では22~23日の2日間で、売り主らが計9000台分の出品を撤回した。米アップルのトルコ版オンラインストアでは23日、iPhoneやiPadなどの高額製品が取扱停止となった。いずれも、急激なリラ安の進行で価格が短期間に急上昇することを見込んだためだとみられる。

外貨両替店の一部では両替レートの看板を下ろし、リラ売り・外貨買いだけを受け付ける動きもみられた。

トルコ統計局によると、10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で19.89%と19年1月以来の高さで、世界的にみても異例のインフレ率となっている。原油高の影響もあり、通貨安はさらにインフレを加速させる恐れがある。トルコはエネルギーを輸入に頼っている上、自国通貨への不信感から国内商取引でもドル建てで計算した価格設定が多いため、物価は為替相場の影響を受けやすい。

急激な通貨安は、エルドアン大統領が主導する金融緩和政策が主因だ。米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする世界の中銀がインフレ懸念から引き締めにかじを切る一方、トルコ中銀は9~11月の政策決定会合で3回連続で利下げを決定し、主要政策金利を計4%引き下げた。エルドアン氏は「金利が下がればインフレ率が下がる」として、経済学の常識とは逆の主張を展開する。

エルドアン氏は22日夜の演説で輸出や雇用、投資の拡大に資するとして中銀の利下げを改めて称賛した。国際通貨基金(IMF)や世界銀行といった国際金融機関や引き締めを主張するエコノミストらを批判し、「経済的な独立戦争に勝利する」と宣言した。

最大野党・共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首は23日の通貨暴落を受け、エルドアン氏自身が「国家安全保障の問題」だと非難した。19年に与党を離党したババジャン元副首相(経済担当)は、エルドアン氏の「非科学的」な主張で「国家が重い代償を払わされている」と述べた。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン