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EU移民流入抑制へ、支援先拡大 受け入れ分担は難航

地中海経由で欧州をめざす移民が増えている(6月、イタリア・ランペドゥーサ島)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄、イスタンブール=木寺もも子】欧州連合(EU)は移民や難民の流入を抑制するため、近隣諸国への資金支援の対象を広げる。新たに地中海に面する北アフリカ諸国も加える方針だ。トルコへの支援継続も合意したが、EU加盟国間で移民や難民の受け入れを分担する改革案の協議は停滞しており、抜本的な解決はみえない。

EUが24~25日に開いた首脳会議で合意した。各国首脳は移民や難民の出身国と通過国との協力に向け、2021年秋に支援計画をつくるようにEUの執行機関である欧州委員会に指示した。

資金支援について現在対象としているトルコやヨルダンなどから広げる。イタリアやスペインを目指す移民や難民が増えている北アフリカ諸国を念頭に置いている。21年からの7年間で総額795億ユーロ(約10兆5000億円)の「近隣諸国・開発・国際協力予算」の少なくとも10%を活用する。

5月にはアフリカ大陸にあるスペイン領セウタに、隣接するモロッコから7千人以上が不法入国した。イタリアには主にリビア経由で1~6月に前年同期比約3倍の約1万9100人がたどり着いた。EUはモロッコやリビアなどに経済支援して欧州に移民が渡るのを阻止する考えだ。

首脳会議では、トルコに滞在するシリア難民に24年まで30億ユーロを支援することでも合意した。約370万人のシリア難民を抱えるトルコは16年の合意に基づき、資金支援を受けてEUへの移動を抑制している。しかし今年3月に大半のEU予算からの支援が期限を迎えていた。

トルコは資金支援に加え、EUとの関税同盟の強化やトルコ人のEUへのビザなし渡航実現も求めている。EUは合意文書で、トルコとの協力は「段階的、相応、可逆的」に進めるとして慎重姿勢をにじませた。

調査会社ユーラシア・グループのエムレ・ペケル欧州部長は「難民への資金支援は前向きだが、より広範な協力や経済統合の深化にはつながらないだろう」とみる。トルコ外務省は合意文書を受け、「資金支援に限るのは大きな誤りだ」と不満を表明した。

EUはトルコの民主主義が後退していると懸念を強めている。資金拠出には、民主主義や人権に敏感な欧州議会の承認が必要で、すんなり事態が進むかは見通せない。だが資金支援がなければ、トルコはシリア難民を国内にとどめおく理由がなくなり、EUに大量流入するリスクをはらむ。

EUの移民や難民の受け入れを巡っては、最初に到着した国に申請受け付けや保護を義務づけるルールがあり、地中海沿岸で到着地になるイタリアやスペインが不満を爆発させた。このため、欧州委員会が全加盟国で受け入れを分担する改革案を示したが、負担に慎重な加盟国が多く、合意できる兆しはない。移民や難民が増えれば、排他的な極右勢力が伸長するとの懸念もある。

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