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ロシア、「独立国家」の範囲拡大 本格侵攻の布石か

(更新)

【モスクワ=桑本太】ロシアが独立国家として承認したウクライナ東部の2地域について、この地域を実効支配する親ロシア派武装勢力が「自国」領域の拡大を主張している。支配地域の外側にはウクライナ軍が自国領土防衛のため駐留している。ロシアは平和維持目的を掲げて派兵しようとしており、ロシア軍が支配地域の外側に展開すれば大規模な衝突が発生する可能性があるとの懸念が出てきている。

ロシアのプーチン大統領は21日、安全保障会議開催後に親ロ派を独立国家として承認する大統領令に署名し、ウクライナへ平和維持目的としてロシア軍の派兵を決定。22日には海外でのロシア軍の軍事行動に必要な許可をロシア上院に要請し、了承された。親ロ派地域を越えてウクライナ軍が駐留する地域まで部隊を進めるかなど詳細は不明だ。

独立国家としての境界について、ロシアや親ロ派から、親ロ派が現時点で実効支配する地域よりも広い地域を定義として挙げる主張が相次いでいる。

安保会議に参加した閣僚の一人は「歴史的国境を認める」などと会議で発言、親ロ派の2地域が主張しているドネツク州、ルガンスク州の州全体を指すとの認識を示した。ロシアが承認したドネツク人民共和国の幹部も憲法上の境界線は州内であると主張した。

プーチン氏も22日の記者会見で、親ロ派地域の定義について「ウクライナの一部だった時」の州境を指すと明言した。親ロ派は東部のルガンスク、ドネツク両州の約3割を占領しているが、他の地域はウクライナ軍が駐留している。

ロシア軍が今後派兵され、平和維持の目的で両州に駐留した場合、親ロ派が実効支配する地域以外ではウクライナ軍との武力衝突の懸念が高まる。ウクライナ軍から攻撃を受けたと自軍を正当化し、ロシア軍が西進して本格的な侵攻につながる可能性も否定できない。

ロシアと2地域が結んだ条約では、親ロ派の要請でロシアが軍事基地を設置できると規定する。ロシア軍の駐留は長期化する公算が大きい。

ロシアはウクライナ東部地域の危機をあおって、国際的に認められない一方的な承認に踏み切った。ラブロフ外相は22日、「主権は領土に住む国民全体を代表する国家にのみ尊重されるべきだが、ウクライナは2014年以来そうではない」と批判した。

親ロ派が実効支配する2地域の近くでは、迫撃砲などによる砲撃のほか、自動車やガスパイプラインなどの爆発が相次ぎ、ウクライナ軍、親ロ派地域ともに負傷者や死者が出たと発表している。

情勢緊迫を受け、ロシアは親ロ派の支配地域から「避難民」が到着しているとして、ロストフ州などで受け入れを進めている。インタファクス通信によると、22日までに約9万人の難民がロシアに到着した。非常事態省によると、44地域が受け入れる準備を進めているという。

ロシア外務省は22日、「(襲撃などから)職員の生命と安全を守るため」として、外務省の職員をウクライナから避難させることを決めたと発表した。ロシア軍による侵攻がありうるのか、情勢悪化への懸念が一段と高まっている。

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