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独製造業、ロックダウン下の急回復 対中輸出がけん引

ドイツ経済の屋台骨である自動車生産も回復が進んだ=AP

【ベルリン=石川潤、フランクフルト=深尾幸生】ロックダウン(都市封鎖)が続くドイツで、製造業の回復が急速に進んでいる。自動車生産は新型コロナウイルス危機前の水準をほぼ回復し、景況感は2年3カ月ぶりの水準にまで上昇した。景気回復で先行する中国への輸出がけん引役だ。低迷が続く非製造業との二極化が加速し、財政・金融政策の難易度が増す可能性もある。

独産業機器大手のシーメンスのローランド・ブッシュ社長は「自動車業界や機械業界は思ったより確実に早く回復している」と話す。工場の自動化機器が好調なシーメンスは今月に入り、2021年9月期が大幅増益になりそうだと発表した。顧客企業のデジタル化投資の加速と中国需要が業績を引っ張っている。

構造不況銘柄とみられていた独鉄鋼大手ティッセン・クルップも「経済回復の兆しが見えてきた」(マルティナ・メルツ社長)と追い風を感じ始めた。自動車・家電向けが好調で、10日に21年9月期の業績の上方修正を発表した。地元メディアによると、同社の上方修正は約4年ぶりだという。

独Ifo経済研究所が22日発表した2月の製造業の景況感指数は18年11月以来となる16.1まで上昇した。商業やサービス業がマイナス圏に沈んでいるが、製造業が全体を引っ張ることで「ドイツ経済はロックダウンにもかかわらず頑強さを示した」(同研究所のクレメンス・フュースト所長)との声がある。

回復に力強さを与えているのが、独経済の屋台骨である自動車産業の復活だ。乗用車の生産は20年12月まで2カ月連続、輸出は同3カ月連続で前年同月を上回った。21年1月は暦の影響や半導体不足などで前年同月を大きく割り込んだが、自動車メーカー首脳の表情に陰りは見えない。

独ダイムラーのオラ・ケレニウス社長は18日、「需要に勢いがある今のタイミングの半導体不足は痛手だが、利幅の大きい車種に影響が出ないようにやりくりできている」と語った。同社は中国も含め、21年の世界販売台数が大幅に増加するとみている。

輸出も好調だ。独連邦統計庁によると、ドイツの20年12月の輸出額は前年同月比2.7%増加した。中国向けが同11.6%増の93億ユーロ(約1兆2000億円)、景気回復が進む米国向けも同8.4%増の92億ユーロに伸び、経済全体を押し上げている。

20年全体では対米国の貿易額(輸出入合計)が前年比で1割近く減少する一方、対中国が同3%増えた。中国がドイツの最大の貿易相手国となるのは5年連続で、中国の存在感がじわり高まっている。

独連邦統計庁は24日、20年10~12月の実質成長率を前期比0.3%に上方修正した。欧州全体がマイナス成長に沈む中で、ドイツ経済の強さが際立つ。欧州委員会の冬の経済見通しによれば21年1~3月はマイナスに転落する見込みだが、製造業が景気の落ち込みを最小限に抑えている。

もっとも、二極化が進んだ経済には、財政・金融政策のかじ取りを難しくする面がある。国内の製造業と非製造業だけでなく、製造業が強いドイツなど北部欧州と観光などに依存するイタリアなど南部の格差も広がっている。欧州中央銀行(ECB)の異例の金融緩和の解除時期などを巡り、対立が再燃しかねない危うさもある。

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