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EU、産業データ利用で包括ルール 新産業創出へ新法案

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は企業などが持つ産業データの包括ルールを定める。域内で一定の規則のもとに、第三者が使えるようにしてデータ関連の新産業の創出を後押しする。企業がデータを域外に移転する際には厳しい基準を設ける。貴重なデータを囲い込むことでEUの成長につなげる狙いだ。

EUの欧州委員会が23日にデータ法案を公表した。欧州委によると、2025年には世界のデータ量は18年の約5倍になる。だがロボットや家電製品から得られる産業データの8割は有効活用されていない。法案が成立すれば、28年までに2700億ユーロ分の域内総生産(GDP)の押し上げ効果があるとみる。

法案ではデータを生み出した企業や個人などの主体は、そのデータを自由に使えるという原則を打ち立てる。現行ルールではロボットを工場に導入した企業はそのロボットのデータを得られず、ロボットの製造者だけがデータを集められるケースが目立つという。

これを利用企業もデータを自由に使えるようにする。例えば利用企業は分析を手掛ける機関などにデータを提供し、事業の効率化などに役立てられる。第三者もデータを契約のもとで取得できるようになる。とりわけ中小企業は最低限のコストでデータを得られるようになり、人工知能(AI)を含め、新ビジネスの誕生を支援する。

クラウドサービスを提供する企業への規制は強める。利用企業がクラウドサービスを容易に変更できるように、契約内容や技術基準を改めるよう義務付ける。加えてEU域外を拠点とする不正アクセスに対抗するため、データの域外移転に制限をかける。

クラウドサービスを提供する企業はアマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなど米企業の存在感が強い。EUが米巨大IT企業を抑え込み、域内から有望な企業を誕生させたいとの狙いが透ける。

緊急時には企業に公的部門へのデータの提供を義務付ける制度を設ける。現時点では原則として公的部門は商業ベースのデータを買うしかない。欧州委は新型コロナウイルス禍を受け、緊急時に速やかにデータを取得して政策に反映できる仕組みを検討していた。

大規模な自然災害や保健衛生の緊急事態、テロなどを想定する。今後は例えば政府は通信会社から人の流れなどのデータの迅速に入手できるようになる。公的部門は利用後にデータを破棄する必要がある。緊急時でなければ一定の料金を支払う。

法案は加盟国でつくる理事会と欧州議会での承認を経て成立する。EU域内にある企業が対象で、日本企業も対応を迫られそうだ。

EUは一般データ保護規則(GDPR)で、世界で最も厳しい水準の個人データの管理を求めている。非個人データのルールでも世界標準をめざす。個人データは米巨大IT企業に押さえられている半面、独フォルクスワーゲンやエアバスなど製造業を抱える欧州は産業データが蓄積されており、世界の主導権を握れるとの思惑がある。

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