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プーチン氏、ロシア製ワクチン接種へ、欧州売り込み狙う

プーチン氏は23日にワクチンを接種する意向を表明した(22日、モスクワ郊外)=ロシア大統領府提供

【モスクワ=小川知世】ロシアが新型コロナウイルスワクチンの欧州への売り込みを強めている。プーチン大統領は23日に接種する方針を明らかにし、安全性を強調した。欧州連合(EU)内でロシア製ワクチンを巡って温度差が浮き彫りになるなか、導入を求める意見を盛り上げる狙いがありそうだ。

プーチン氏は22日の会議で「接種は個人で決めることだ。私はあす受けるつもりだ」と語った。ロシアが「世界初」と主張する「スプートニクV」など、承認済みの3種の国産ワクチンのいずれかを接種する。「カメラの前での接種を好まない」(大統領報道官)ため、非公開で行うという。

スプートニクVは2020年8月に承認され、12月に大規模な接種が始まった。最終段階の臨床試験(治験)に先立ち承認され、プーチン氏が接種していなかったことから、安全性が不安視されていた。ロシア紙コメルサントによると、接種を始めた国民の割合は4.4%にとどまる。

プーチン氏は欧州でのスプートニクVの扱いを巡る議論を意識している。22日にはEUのミシェル大統領と電話協議し、ロシア製ワクチンについて意見を交わした。

EUの欧州医薬品庁は4日にスプートニクVの審査開始を発表した=ロイター

ワクチン供給の遅れを背景にスプートニクVに対する期待は欧州でも高まっている。EUで医薬品を審査する欧州医薬品庁(EMA)は4日に同ワクチンの審査開始を発表した。ハンガリーがEUの承認を待たずに独自に承認して接種を始め、イタリア国内での製造が検討されていることも9日に明らかになった。

一方で慎重な意見も根強い。使用を検討するスロバキアやチェコでは「EUによる承認を待つべきだ」と政権内からも反対があがった。ロイター通信によると、EU欧州委員会でワクチン問題を担当するブルトン委員は21日に「我々にスプートニクVは必要ない」と仏テレビで断言した。

プーチン氏は22日の会議でこの発言に触れ「彼らは誰の利益を守っているのか。製薬会社なのか、欧州市民の利益なのか」と批判してみせた。

ハンガリーはEUの承認を待たずにスプートニクVの接種を始めた(4日、ブダペスト)=AP

ロシアとEUは同国の反体制派指導者ナワリヌイ氏の収監などを巡って対立を深めている。ロシアは欧州で疑問視されていたスプートニクVを売り込み、外交的勝利としたい考えとみられる。EU内で意見が割れて不協和音が高まれば、ロシアにとって好都合だとの見方もある。

ワクチンの海外供給を担うロシア直接投資基金によると、スプートニクVはこれまでに55カ国で承認された。25~26日に開かれるEU首脳会議ではワクチンの調達体制の強化が議論される。「ワクチン外交」によるロシアの影響力拡大への警戒感は広がっており、ロシアとEUの綱引きも激しくなりそうだ。

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