テスラ、ドイツ工場稼働 世界生産能力200万台超に

【フランクフルト=深尾幸生、シリコンバレー=白石武志】米テスラは22日、ドイツ・ベルリン郊外の電気自動車(EV)工場で正式に生産を開始した。同社にとって欧州で初めてのEV工場で、既存拠点などをあわせると生産能力は年間200万台を超える見通しだ。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はブランデンブルク州グリューンハイデに建設した「ギガファクトリーベルリン・ブランデンブルク」の開所式で、最初の顧客に車両を引き渡した。ドイツのショルツ首相も出席し「テスラの工場の開所は重要な印だ。このようにしてドイツは気候中立になることに成功し、変革を先導する。未来は電気のモビリティーにある」と述べた。
完成車の組み立て拠点としては米カリフォルニア州フリーモント、中国・上海に次ぐ3カ所目の拠点となる。多目的スポーツ車(SUV)タイプの量販車種「モデルY」を生産する新工場の生産能力は年間50万台規模とみられ、米テキサス州で近く開く新工場も加えると、同社の生産能力は2022年中に合計で200万台を超える。
テスラは19年にドイツでの工場建設を表明、20年初めから建設を進めてきた。当初は21年7月に生産を始める予定だったが認可が遅れていた。これまで欧州で販売するモデルYと量販車種の「モデル3」について、主に上海工場からの輸出でまかなってきた。欧州初の完成車組み立て拠点となるドイツ新工場の稼働によって、モデルYについては「地産地消」の体制が整うことになる。

テスラはカリフォルニア州と中国の既存工場でも増産投資を続けている。21年に約93万台だった世界販売台数は22年に「150万台超に手が届く可能性がある」(米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏)とみられている。
もっとも世界的な半導体不足やロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰などで自動車産業のサプライチェーンはきしんでいる。テスラはベルリンとテキサス州の新工場について「できるだけ早期に週5千台の生産(年間ベースで約26万台)を目指す」としているものの、フル稼働の達成には時間がかかる見込みだ。
稼働率の低い工場を抱えることは短期的には収益圧迫要因となるが、テスラ幹部はこれまで「供給制約が緩和された際に、総生産量をより迅速に増加させることができるよう準備することが重要だ」と説明してきた。今は将来の増産に向けた力を蓄え、EVに本腰を入れてきた独フォルクスワーゲン(VW)や独メルセデス・ベンツグループなど自動車大手の追い上げをかわす狙いだ。