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IEA、ロシアに天然ガス供給増を要請 価格高騰で声明

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ロシアの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設現場(2019年9月、バルト海)=ロイター

【ロンドン=篠崎健太】国際エネルギー機関(IEA)は21日、欧州で天然ガス価格が高騰していることを受けて声明を出し、主要な輸出国であるロシアに供給量を増やすよう求めた。欧州への長期契約に基づく提供は履行しているものの「ロシアにはできることがもっとあるはずだ」と述べ、逼迫状況の緩和に向けた協力を促した。

天然ガス相場は9月に入り世界的に上昇の勢いが増している。欧州では指標価格のオランダTTFが足元で1メガワット時あたり70ユーロ(約9000円)超と、1カ月前より7割ほど高い。年初と比べると約4倍に高騰している。

IEAは価格高騰の要因として世界的な景気回復に加え、欧州で冬場に厳しい低温が長引いて暖房需要が旺盛だったことや、直近数週間の風力発電量の鈍さなどを挙げた。欧州のガスの在庫量は過去5年平均を大きく下回っている。

IEAは冬の天候次第では「欧州のガス市場はさらに強いストレスに直面する可能性がある」との見解を示した。

声明ではロシアについて、欧州向けの天然ガス輸出量は2019年の水準を下回っていると指摘した。「欧州への頼れる供給者としての信用を示せる機会だ」と訴えた。

ロシアが欧州に圧力をかけようと、ガスの供給拡大に後ろ向きな姿勢をとっているとの見方も浮上している。ロイター通信によると、欧州議会の一部議員は17日までに、ロシア国営ガス大手ガスプロムが意図的に価格の押し上げを図っている疑いがあるとして、欧州連合(EU)の欧州委員会に調査を要請した。

ロシア側は供給義務を果たしていると主張する。だが、ガスプロムのミレル社長は17日、欧州がガスの在庫が不十分なまま秋冬を迎え、さらに価格が上昇する可能性を警告した。インタファクス通信は20日、同社がウクライナ経由で欧州に向かうパイプラインについて、10月の供給量追加の予約も見送ったと報じた。

ガス供給を巡って欧州とロシアの駆け引きが激しくなることも予想される。欧ロ間のガスパイプラインでは米国などが反対してきた「ノルドストリーム2」の敷設工事の完了をガスプロムが10日に発表した。ロシアは欧州への供給安定を理由に、いち早い操業開始やロシアに有利な供給条件を主張するとみられる。

天然ガス価格の高騰で、英国では仕入れコストの上昇に耐えられなくなった複数のガス供給事業者が経営破綻に追い込まれた。ガスを使う肥料工場が操業停止して副産物である産業用の二酸化炭素(CO2)が不足するなど悪影響が広がっている。訪米中のジョンソン英首相は21日、英BBCのインタビューで問題は「短期的」との見方を示したが、ガス需要が伸びる冬場を控えた急騰で懸念は強まっている。

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