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ワクチン分配、低所得国で開始 国際枠組みでガーナから

24日、ガーナにコバックスのワクチンが到着した=ロイター

【パリ=白石透冴】新型コロナウイルスのワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」が24日、アフリカ・ガーナで初めてワクチンを配った。パンデミック(世界的大流行)の収束のカギをにぎる低所得国での接種が、欧米から2カ月遅れで始まる。年内に20億回分以上の分配を目指すが、回数の確保に手間取るおそれも指摘される。

「数カ月の計画、交渉の結果だ」。コバックスを主導する世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は24日、ツイッターに投稿した。ガーナには空路で英アストラゼネカ製ワクチン60万回分を届け、医療関係者らに接種する。隣国コートジボワールにも週内に届くほか、世界での配布計画を近日中に発表する。

コバックスは20年4月にできた新型コロナ対策の国際的な枠組み「ACTアクセラレーター」の柱。資金力に劣る低所得国にも平等にワクチンを配ることをめざす。

高・中所得国が資金を拠出し、コバックスが一括購入して平等に分配する。ガーナなど低所得国と定義された92カ国は無料でワクチンを受け取ることができる。各国の人口の少なくとも20%に接種してもらう。

ワクチン接種の現状は公平とはほど遠い。英オックスフォード大の研究者らが運営するデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、23日時点で世界で2億1千万回以上の接種が終わった。米国、欧州、中国で計8割を占め、低所得国の接種はほとんど始まっていない。

高所得国がコバックスに参加する一方、製薬会社と独自に交渉してすべての人が接種しても余るほどのワクチンを確保したからだ。テドロス氏は22日、「さらにワクチンを注文しようとしている高所得国がある。コバックスに割り当てられる本数が減る」と語った。

高い購入価格を示して自国への供給を優先させようとする国もあったという。低所得国の指導者からは「低所得国がワクチンを受け取れなければ、長きにわたり世界に禍根を残す」(フィリピンのドゥテルテ大統領)との声が出ていた。

コバックスへの批判もある。仏国際関係戦略研究所(IRIS)のナタリー・エルヌ研究員は「公金を基にした活動にもかかわらず、透明性が非常に低い。資金の拠出国にさえ、いつ何回分届けられるかの情報を渡せていない」と指摘する。コバックスを待っていては接種計画が立たないため、各国は独自確保に動いた。中東や南米では中国やロシア製ワクチンを確保する動きが相次ぐ。

いまのままでは低所得国を中心に21年中に20億回分以上を配る目標が遅れかねない。英エコノミスト誌の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」は1月、ワクチンが広く行き渡るのは欧米を中心にした国では21年後半だが、最も貧しい85以上の国では少なくとも23年までかかる、と指摘した。

日米欧の主要7カ国(G7)は19日、総額75億ドル(約7900億円)をコバックスなどに拠出すると発表した。コバックスを柱とするACTアクセラレーターの活動資金が約270億ドル足りないと指摘されてきたが、不足を埋める努力は進む。

低所得国での感染拡大を放置すれば、既存のワクチンが効きづらい変異ウイルスが発生する恐れも高まる。コバックスを最大限活用し、低所得国でワクチンをどれだけ早く普及させられるかがパンデミックの収束時期を左右しそうだ。

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