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独VW、EUの新CO2規制クリアできず 罰金200億円弱か

【フランクフルト=深尾幸生】独フォルクスワーゲン(VW)は21日、欧州連合(EU)が2020年に導入した新しい二酸化炭素(CO2)規制を達成できなかったと発表した。19年より排出量を2割減らしたが、目標値に1台当たり0.5グラム足りなかった。1億5千万ユーロ(約190億円)前後の罰金を支払う見通しだ。

EUは20年から21年にかけて段階的に新たなCO2規制を導入。域内(英国・ノルウェーなどを含む)で販売する新車(乗用車)1台のCO2排出量を巡り、全社平均で走行1キロメートルあたり95グラム以下に抑えるよう義務付けた。

個別企業の規制値は車種構成によって異なり、VWは20年に99.3グラムに抑える必要があったが、結果は99.8グラムだった。19年(124グラム)のままだと数千億円規模の罰金の可能性があったのと比べると大幅な削減には成功した。電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を19年の4.3倍の31万5400台販売したことが貢献した。

VWは20年にEUと英国などで約300万台を販売。規制の対象となる販売台数に、超過したグラム数と1台あたりの罰金95ユーロをかけた金額を支払うことになる。すでに引き当てを済ませており、特別損失は発生しないという。

一方で、トヨタ自動車や仏グループPSA(現ステランティス)などの競合が比較的容易に達成したり、達成が危ぶまれた独ダイムラーですらクリアしたりしたのに比べると、未達はVWにとって痛手だ。新型コロナウイルスで、期待していた新型EV「ID.3」の生産が遅れたため、欧州でEVを販売する複数の中国メーカーからクレジット(排出枠)をかき集めたが、絶対数が少なく届かなかった。

ヘルベルト・ディース社長は声明で「20年は新型コロナに阻まれわずかに目標値に届かなかった。さらなるEVの投入で今年は達成できる」と述べた。

EUの新CO2規制は世界で最も厳しいとされる。19年実績から各社のCO2排出が改善されなければ罰金額は合計で約4兆円に上る可能性があった。各社が電動車を相次いで投入した結果、全体の罰金額は大幅に抑えられたもようだ。

20年は段階的導入として95%の新車を対象とし、EVなどの排出量が50グラム以下の車両は2台分に数えられる「スーパークレジット」が使えた。21年は域内で販売した全ての新車が対象となり、スーパークレジットも1.67台分に減るため、さらに厳しい規制となる。

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