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仏トタルと米シェブロン、ミャンマー撤退へ

【ロンドン=篠崎健太】仏エネルギー大手のトタルエナジーズは21日、ミャンマーから撤退すると発表した。2021年2月に国軍のクーデターが起きた後、国軍側の収入源とならないよう、現地の天然ガスパイプライン事業で配当金支払いを止める対応をとってきた。人権問題で状況の改善が見込めず継続は困難と判断した。事業体に出資している米シェブロンも撤退の方針を明らかにした。

ミャンマー南西部沖のヤダナガス田を運営する共同事業体から引き揚げる。トタルは1992年に参入し、31.2%を出資する主力オペレーターだった。同事業にはシェブロンが28.3%、タイ石油公社(PTT)系が25.5%を出資するほか、国軍の影響下にあるミャンマー石油ガス公社(MOGE)も15%出資している。

トタルはクーデター後、国軍による市民への人権侵害を繰り返し批判し、進行中の開発案件を止めた。MOGEを通じて国軍側の資金源とならないよう配当を留保しつつ、市民生活に配慮してエネルギー供給は続けてきた。人権団体などからはMOGEを通じて国軍の収入源になっていると問題視されていた。

トタルは声明で「ミャンマーではクーデター後、人権や法の支配をめぐる状況が悪化し続けている。もはや同国に前向きな貢献は十分できなくなった」と説明した。同日付でパートナー企業に通知し、最大6カ月を経て契約満了となる見込み。

トタルによるとミャンマーでの事業利益は2021年に1億500万ドル(約120億円)で、全体の1%未満だった。広報担当者は日本経済新聞に「収益面が撤退判断の決定的要因になったことはない」と述べ、人権問題に基づく決断だと強調した。

シェブロンも同日、ヤダナガス田事業への出資引き揚げを検討中だと明らかにした。「ミャンマーの情勢を踏まえ、同国から撤退する計画的かつ秩序だった移行に向けて権益について見直した」(広報担当者)という。

ヤダナガス田は年間60億立方メートルの天然ガスを生産し、うち7割がPTTを通じてタイに輸出されている。トタルが保有していた権益は既存のオペレーターに引き継がれるが、過半数を握る欧米2社が退いた後の事業形態がどうなるかは不透明だ。PTTは「タイ、ミャンマー両国のエネルギー安全保障を最重視し、供給に影響が出ないよう慎重に方向を検討していく」とのコメントを出した。

国軍クーデターによる政変後のミャンマーでは欧州企業を中心に外資の引き揚げ表明が続いている。21年後半にはノルウェー通信大手テレノールや独流通大手メトロ、英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)などが撤退を表明した。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。

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