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英、感染者の隔離義務を撤廃へ コロナ共生策

【ロンドン=佐竹実】英政府は新型コロナウイルスの感染者の隔離義務をなくすなど、規制をほぼ撤廃する方針だ。ワクチン接種が進み、重症者や死者が増えていないためで、コロナとの共生策として打ち出したい考えだ。ただ医療関係者などからは拙速だとの声もあがる。支持率が落ちたジョンソン政権が成果を示すために規制解除を急いでいるとの指摘もある。

主要国でコロナ規制をほぼ撤廃すれば、初めてになるとみられる。

人口の大半を占めるイングランドでは現在、検査で陽性となった場合は5日間自宅などで隔離しなくてはならない。隔離義務がなくなればインフルエンザなど他の感染症と同じ扱いになり、生活を通常に近づけられる。

検査の数も大幅に減らす方向で検討している。ジョンソン首相は20日のBBCのインタビューで、検査に「月に20億ポンド(約3100億円)も使う必要はない」と述べた。

英政府は2021年12月に変異型「オミクロン型」が流行した際に、ワクチンのブースター接種(追加接種)を急ぎ、イングランドでは18歳以上の約8割が追加接種を終えた。ジョンソン氏は「パンデミック(世界的大流行)は終わっていないが、ワクチンのおかげで通常の暮らしに一歩近づいており、ついに自由を取り戻せる」と述べた。

英国は21年7月に新型コロナとの共生を掲げ、段階的に規制を緩和してきた。オミクロン型の流行で在宅勤務を推奨するなどやや規制を強めたが、あくまで一時的な対応だと強調していた。

今回規制を全面的になくすのは、重症者や死者が増えていないためだ。オミクロン型の重症化率が低いことが分かったほか、ワクチンの接種率も上がった。人工呼吸器が必要な患者は、オミクロン型が急拡大する間も増えていなかった。入院患者は増えたが、骨折など別の理由で入院して後に感染が判明するケースが少なくなかった。

死者も過去の流行時のようには増えていない。新型コロナが世界的に流行した2年前は未知のウイルスで、肺炎になって重症化するなどして多くの死者を出した。だが、いまはワクチンが普及し、治療薬も実用化されている。コロナ以外にも病気はあり、状況が変わったのであればいつまでも規制を続けるのは現実的ではないというのが英政府の立場だ。

欧州では、同様に規制を撤廃する動きが相次いでいる。スウェーデンは9日から、国内での規制をほぼ全廃した。ロイター通信によると無料の検査も打ち切り、事実上の収束を宣言した。スイスも16日に規制の大半を解除すると発表し、公共の場でのマスクの着用義務などをなくした。ドイツやオーストリアなども規制を相次いで緩和している。

もっとも英政府が規制をほぼ解除することについては批判もある。医療関係者からは、規制解除によって感染が広がり、重症者が増えることを懸念する声があがる。英メディアによると、英国医師会の幹部は「データに基づかず、医療の専門家に相談していないことは明らかで、拙速だ」と指摘している。

ジョンソン政権は、新型コロナの行動規制の最中に英首相官邸内で繰り返しパーティーを開いたとして警察から捜査を受けている。米ウォーターゲート事件になぞらえて「パーティーゲート」と報じられており、与党・保守党の支持率は下がっている。

最大野党・労働党からは「ドアをノックする警察から目をそらそうとする試みだ」との声が出る。コロナ規制の緩和を急ぐ背景には、成果を示すことで批判をそらせたいとの思惑もあるとみられる。

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