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シリア大統領選、アサド氏4選へ 内戦終結見えず

(更新)
20日、在外投票が行われるレバノンのシリア大使館を訪れたアサド氏の支持者ら=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】シリアで26日、内戦勃発以降2度目となる大統領選の投票が始まった。立候補や投票の自由は制限されており、国際社会から「独裁者」と非難されるアサド大統領の4選は確実な情勢だ。国民生活が困窮を極める中、経済再建のめどは立たず、イスラム過激派勢力の伸長も懸念される。

シリアの裁判所は10日、立候補を届け出た51人のうち、アサド氏のほか2人の候補者を認めたと発表した。ひとりは「反体制派」とされ、政権は公正な選挙をアピールする狙いがあるとみられるが、米シンクタンク、カーネギー国際平和財団のH・A・ヘルイェル氏は「完全な茶番だ」と断じる。

2011年に内戦が始まって以降、国民の半数を超える1000万人以上が国内外に逃れた。出馬にはシリアに過去10年以上居住を続け、議会で一定の支持を集めるなどの条件があり、反体制派は事実上締め出されている。政権支配下の地域や在外公館でも、弾圧を恐れる有権者の自由投票は期待できない。

9割の支持を得た14年の前回選挙同様、アサド氏の圧勝は確実視されている。00年に父ハフェズ・アサド大統領の後を継ぎ、今回の選挙で4選すれば28年まで新たに7年間の任期を得る。反体制派、過激派組織「イスラム国」(IS)などと争った内戦では、首都ダマスカスを含む主要地域を手中にし、事実上の勝者になった。

欧米はアサド氏が化学兵器などを使って国民を虐殺した独裁者とみており、選挙が正当に行われたとは認めない見通しだ。ただ、国際危機グループ(ICG)のダリーン・ハリファ氏は、新たな制裁などの可能性は低いとみる。バイデン米政権がシリア特使の指名も行っていないことなどを挙げ、「欧米はシリアへの政治的関心を失っている」と指摘する。

国際政治から置き去りのシリア経済は急速に悪化している。1兆2000億ドル(約130兆円)との推計もある内戦の経済損失に対し、政権の後ろ盾であるロシアやイランが資金的に援助する力は乏しい。19年後半以降は国際金融との結節点だった隣国レバノンが経済危機に見舞われ、ダマスカスでも燃料や食料品を手にするために市民が長蛇の列を作る姿が珍しくなくなった。

懸念されるのは19年を最後に「領土」を失ったISなど過激派組織の復活だ。米国防総省によると、アサド政権の支配が及ばない中部砂漠地帯などを中心に、シリアや隣国イラクで活動するIS戦闘員はなお約1万人にのぼる。1~3月は両国で計200件以上のテロ攻撃や暗殺を行った。

ISは難民キャンプで物資を支援するなどして新たな戦闘員の勧誘を積極的に行っているもようだ。特に、戦闘員の妻子ら約6万人が暮らす北東部のアルホルキャンプでは、治安や生活環境が著しく悪化しており、若年層の過激化が報告されている。

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