サッカー欧州選手権で感染6000人超 英、調査結果公表

【ロンドン=佐竹実】英政府は20日、興行での新型コロナウイルスの感染状況を確かめる「イベント調査プログラム」の結果を発表した。6~7月のサッカー欧州選手権では、約6400人が新たに感染した可能性がある。調査した研究者は「密接な状態でウイルスがいかに容易に広がるかを示した」としている。
英政府はサッカーやテニスなどの興行を調査対象とすることで、当時行動規制が敷かれる中でも大人数を入れての開催を例外的に認めた。サッカー欧州選手権では入場時に陰性証明かワクチンの2回接種の記録の提示を求めていたが、約3千人が試合時にはすでに感染しており、約6400人に広めた可能性がある。
それぞれ6万人超の観客を入れた準決勝と決勝は、感染者が増えている時期に行われた。決勝だけで約3400人が新たに感染した可能性がある。決勝は地元イングランド対イタリア戦で、チケットを持たない観客が暴徒と化してスタジアムになだれ込んだ。大声を出して密状態となり、感染が広がりやすい環境だった。
一方、ほぼ同時期に行われたテニスのウィンブルドン選手権では、延べ約30万人の観客を入れたが、感染者は約900人にとどまった。観客の応援スタイルによって差が出た。ダウデン英デジタル・文化相は、「この冬のサッカーや劇場、コンサートなどを満員の観客でも安全にするため、ワクチン接種を勧める」としている。