英与党党首選、候補者最大3人に 議員100人の推薦が条件

【ロンドン=中島裕介】20日に辞意を表明したトラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選は、立候補できる同党議員を3人に絞ることになった。党首選を運営する保守党の「1922年委員会」は20日、党首選への立候補に議会下院の同党所属議員357人のうち100人の推薦を必要とするルールを決めた。短期間で選出できるよう、立候補のハードルを高めた。
保守党は28日までに新党首を選ぶ。トラス氏を選んだ7~9月の前回の党首選では必要な推薦人の議員は20人だったため8人が立候補した。党員による決選投票に残った2人は1カ月近く英各地の討論会に参加して支持を訴えた。今回はこうした日程を大幅に縮小した。1922年委員会のブレイディ委員長は推薦人の条件について「見込みのある真剣な候補者であればクリアできる」と語った。
立候補は英時間24日の午後2時に締め切る。この時点で候補者が1人の場合は自動的に新首相が決まる。3人立候補した場合には24日に党下院議員の投票を実施し、2人に絞り込む。その後、保守党員を対象としたオンライン投票を実施して勝者を決める。
24日には2人に絞った後に勝敗を決するためではなく、決選投票前の党員の参考のために党下院議員が投票をする予定も組み込まれた。
トラス氏は後任者が決まるまで首相に残る。英紙タイムズは不祥事が相次ぎ9月に政権を明け渡したジョンソン前首相が立候補する可能性があると報じた。独特のキャラクターで党員に人気があるものの、党内に反ジョンソン派の議員も多く100人の推薦人が集まるかが課題になる。
前回の党首選で100人以上の議員票を集めているスナク元財務相やモーダント下院院内総務も後任候補として有力視される。スナク氏は前回、決選投票でトラス氏に敗れた。大規模減税策の修正を担っているハント財務相は出馬しないと表明した。
9月6日に首相に就任したトラス氏は、同月下旬に発表した目玉の大規模減税策が金融市場の混乱を招き、財務相の更迭や対策の撤回に追い込まれた。最後まで首相続投の意欲をみせていたが、内相の辞任や党内の辞任圧力の高まりに抵抗できなかった。予定通り28日までに退陣すれば、史上最短の首相任期となる。
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