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欧州、ウイグル「大量虐殺」決議相次ぐ 台湾接近も

【パリ=白石透冴】欧州各国の議会で、中国の新疆ウイグル自治区での人権弾圧が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと認定する決議が相次いでいる。フランス国民議会(下院)も20日の決議で中国に厳しい対応をとるよう政府に求めた。

「ウイグル族社会を破壊する意思が多くの文書で明らかになっている。中国政府が計画した組織だった暴力であり、ジェノサイドに該当する」

仏下院は20日、賛成多数でウイグル自治区の人権弾圧を非難する決議を採択した。野党中道左派の社会党が提出した決議案だが、マクロン大統領が率いる与党共和国前進の議員も賛成した。

元内相で与党下院代表のカスタネール議員も賛成票を投じており、2月の北京冬季五輪まで間もなくというタイミングながらマクロン氏も採択を容認したもようだ。

マクロン氏は19日、仏東部ストラスブールの欧州議会でウイグル問題について問われ「欧州は強制労働によってできた物品の輸入を禁止しなければならない」と演説した。

イスラム教徒が多いウイグル族の人権問題は多くの同教徒が住むフランスで関心が高い。4月の大統領選挙まで3カ月を切ったが、与党は決議が世論から支持されると読んでいる。

似た決議は2021年以降欧州で相次いでいる。英下院は同年4月、超党派の賛成多数で「少数民族が人道に対する犯罪とジェノサイドに苦しんでいる」などとの決議を認定した。ベルギーとオランダの議会も同年に似た決議を採択した。いずれも政府に解決に向けた行動を促すなどの中身だ。

ウイグルの人権弾圧を裏付ける証拠が相次いで明らかになったことに加え、新型コロナウイルスへの対応、香港の民主化運動弾圧などで中国への不信感が欧州で高まっているのが理由だ。経済的な利益が大きいとみて欧州は中国との関係を深めてきたが、風向きは変わっている。

批判は議会レベルが中心だ。決議は拘束力がなく、象徴的な意味合いが強い。英独仏など主要国政府はジェノサイドの認定に慎重で、中国との決定的な関係悪化を避けている。

フランスは気候変動問題で世界をけん引したいと考えており、世界2位の経済大国である中国の協力は欠かせない。ドイツは自動車産業などの対中輸出への経済依存度が大きい。

ただ東欧では中国の圧力を受ける台湾と接近する動きがある。リトアニアでは21年11月、国内に台湾の事実上の大使館となる代表機関ができた。

同国政府は欧州に置く代表機関としては初めて「台北」ではなく「台湾」の表記の採用を認め、中国政府の猛反発を招いた。台湾はリトアニアへの支持を示すため、同国への投資を目的に2億ドル(約230億円)の基金をつくると発表した。

スロベニアのヤンシャ首相は17日、同じく台湾代表機関の国内設置を認める検討をしているとメディア取材に明らかにした。中国の反発を「恐ろしく、ばかげている」と批判し、台湾との貿易関係強化に意欲を示した。

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