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欧州中銀、金融緩和を継続 総裁「あらゆる手段を準備」

(更新)
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は「あらゆる手段を用いる準備ができている」と語った=ロイター

【ベルリン=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は21日の理事会で、金融政策の現状維持を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で欧州の主要国は大規模なロックダウン(都市封鎖)に追い込まれ、出口の見えない状況が続く。ユーロ高も進んでおり、ラガルド総裁は「引き続きあらゆる手段を用いる準備ができている」と語った。

ECBは前回2020年12月の理事会で、半年ぶりとなる追加緩和に踏み切ったばかりだ。コロナ危機に対応する資産購入の特別枠(PEPP)は1兆8500億ユーロ(約230兆円)に維持した。声明文には、金融環境が安定していれば枠をすべて使い切る必要はなく、逆に必要であれば枠を増やすこともできるという考えを明記した。

政策金利は主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.5%に据え置いた。

ワクチンの接種が始まったことは「重要な一里塚」(ラガルド総裁)だが、欧州経済を取り巻く環境は依然として厳しい。新型コロナの感染拡大は収まらず、感染力の高い変異種の脅威も高まってきた。ドイツが19日に商店・学校などの閉鎖を延長し、公共交通機関などでの医療マスク着用の義務づけを決めるなど、経済活動の制約はむしろ強まっている。

20年10~12月のユーロ圏の成長率はマイナスに転じた可能性が高い。20年春のような大幅な落ち込みは回避できる見込みだが、21年1~3月も低迷は避けられない。ECBのラガルド総裁はこれまで、ワクチンが普及して危機を抜け出すまで政策によって「橋を架ける」のが当局の役割だと説明しており、異例の金融緩和策を続けざるを得ない状況となっていた。

景気が力強さを欠くなか、物価上昇率も水面下に沈んでいる。ユーロ圏の12月の消費者物価上昇率は前年比マイナス0.3%で、5カ月連続の下落となった。エネルギー価格が上昇に転じ、ドイツの付加価値税の減税が終了したことで徐々に持ち直していく可能性が高い。ただ、ECBの物価2%目標からは当面「離れた状況が続く」(シュナーベル専務理事)とみられる。

ECBにとってさらに悩ましいのが、ユーロ高が進んでいることだ。ユーロの対ドル相場は年明け以降も1ユーロ=1.2ドルを超える高値圏での取引が続いている。通貨高は輸出企業の収益を押し下げるだけでなく、輸入価格の下落を通じて物価上昇率を押し下げるという問題がある。

ラガルド総裁は為替相場を注視していく姿勢を改めて表明した。ECBが米国のバイデン政権誕生後のドル相場の動きを見極めつつ、どのような政策姿勢を打ち出すかが焦点のひとつに浮上している。

異例の金融緩和によって資産バブルなどの副作用も膨らんでいる。緩和的な金融環境が中長期的にもたらすリスクをどう抑えていくかも課題となっている。

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