英スーパー4位巡り争奪戦 米ファンドが価格引き上げ

【ロンドン=佐竹実】米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)は20日までに、英スーパー4位モリソンズの買収に向けた提示額を70億ポンド(約1兆500億円)に引き上げた。モリソンズは7月、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどからの買収提案を受けることで合意しており、米ファンドによる争奪戦が激しくなっている。
CD&Rはモリソンズ買収に55億ポンドを提示していたが、モリソンズは6月に価格が低すぎるとして拒否していた。その後、フォートレスやカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)などが63億ポンドを提示し、モリソンズと合意した。フォートレス側はその後、買収額を67億ポンドに引き上げていた。英BBCによると、フォートレスは「選択肢を検討している」としており、最終的な着地点は見えていない。
モリソンズは英全土で約500店舗を持ち、米アマゾン・ドット・コムと提携するなどオンライン販売にも力を入れている。2021年1月期通期の売上高は176億ポンドだった。米ファンドからの買収提案を受けて株価は急上昇しており、20日時点の時価総額は70億ポンドだった。
米企業による英国企業の買収は相次いでいる。米制御機器大手パーカー・ハネフィンは2日、航空・防衛システムの英メギットを買収すると発表した。安全保障に関わる分野だけに、英政府は取引を注視している。英紙テレグラフによると、モリソンズ買収についても資産の売却や人員削減などを懸念する声が政府から出ている。