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「仮想通貨に構造的欠陥」 国際決済銀行、金融リスク警鐘

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【ベルリン=南毅郎】世界各国の中央銀行が参加する国際決済銀行(BIS)は21日、デジタル通貨に関する報告書を公表した。価格変動が激しい暗号資産(仮想通貨)は「構造的な欠陥があるため通貨システムの基盤には不向きだ」と警鐘を鳴らした。仮想通貨の仲介会社への規制が不十分なまま投機が過熱すればリスクを伴い、金融システムの安定を損なうと警戒する。

代表的な仮想通貨のビットコインは18日に一時、2万ドル(およそ270万円)の節目を割った。下落率は2021年11月の最高値から7割を超え、世界的な金融緩和で仮想通貨に流入していたマネーが逆回転している。BISの調査部門トップを務めるヒュン・ソン・シン氏は「仮想通貨の価格崩壊は金融システムの安定に対するリスクを強く示している」と強調した。

BISが警戒するのは、多くの仮想通貨が価値の根拠を欠いたまま投機的に取引されている点だ。報告書では、仮想通貨の売買は「規制されていない仲介業者に依存することが多いためリスクがある」と指摘した。政府や中銀が管理しない非中央集権的な制度思想を持ちながらも、仲介業者に決済のリスクが集中しているとの見方だ。

実際、足元の相場急落は仮想通貨の運用会社の経営不振が一因になっている。運用大手のシンガポールのヘッジファンドは相場急落で融資元への追加担保を出せず、取引の一部が清算されたと伝わった。経営不振への懸念から投資家の投げ売りを呼び、相場急落に拍車をかける構図だ。

サイバー攻撃による仮想通貨の流出も後を絶たず、一部はロシアへの経済制裁の抜け穴になる恐れも出ている。国際通貨基金(IMF)も仮想通貨が資本移動の抜け穴になるリスクを指摘しており、包括的な規制やルールが未整備なままの市場の急変に国際機関は警戒を強めている。

一方、中銀が発行するデジタル通貨「CBDC」は、利用者のプライバシー保護に配慮しながら、誰もが金融サービスを受けられる「金融包摂」の強化につながると期待を示した。ヒュン・ソン・シン氏は「『イノベーション』は単なる流行語や最新のファッションではなく、利用者のニーズを見失ってはならない」と指摘する。

CBDCを巡っては、米連邦準備理事会(FRB)が「デジタルドル」の実現を見据えて初の報告書を公表したほか、欧州中央銀行(ECB)も準備を本格化させている。日銀は4月からCBDCの実証実験を第2段階に移行しており、決済の利便性向上や保有額の上限設定といった通貨に必要な機能の検証を進めている。

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