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ロシア大統領、米欧をけん制 「一線を越えないと期待」 

21日、モスクワ市内で年次教書演説を行うプーチン大統領=ロイター

【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は21日の年次教書演説で、米国や欧州に対して「一線を越えないと期待する」と述べた。ウクライナやベラルーシ情勢で対立を深めており、強くけん制した。一方、反体制派は同日夜に全国各地での抗議集会開催を呼びかけ、政権と対決姿勢を鮮明にしている。

内政と外交の基本方針を示す年次教書演説はモスクワ中心部の会議場で、上下院の議員や政府閣僚、地方政府幹部、経済・社会団体の代表者らを前に実施した。2020年1月の前回の年次教書演説では、プーチン氏は広範な憲法改正を提案し、7月の改憲の是非を問う国民投票で自らの5選出馬に道を開いた。

今年の年次教書演説では、ロシアを取り巻く国際情勢について「非友好的な行為が相次いでいる」と批判した。緊張が続くベラルーシ情勢や14年のウクライナの政変に言及し、他国が一線を越えた場合「ロシアの対抗措置は非対称的、迅速で厳しいものになる」と警告した。

一方、軍備管理での国際協調への意欲も表明した。「ロシアは戦略兵器と世界の安定に関する案件について他国に提案している」と指摘し、核兵器だけでなく、戦略的安定に関わる他の攻撃、防衛兵器も含めて多国間協議を進めたい考えを強調した。その一環として、プーチン氏がかねて提唱している米英仏中ロの国連安保理常任理事国5カ国による首脳会議の早期開催に期待を示した。

内政では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、保健医療や社会保障の拡充、経済回復の促進策を明らかにした。特に低迷する経済の再建のため、5000億ルーブル(約7000億円)の政府資金を地方インフラ発展のための融資に拠出する計画を示した。企業が利益を効率的に投資に回すための税制改革にも意欲を示した。非資源部門の企業向けに外貨管理の規制を緩和すると約束した。

内政の方針は、9月19日の下院選で与党・統一ロシアの勝利を導く狙いがある。政権は与党が憲法改正に必要な3分の2以上の議席を引き続き確保することを目指している。だが、最新の世論調査では与党の支持率が30%を割り込み、野党との差は縮まる傾向にある。

有権者はプーチン政権の長期化で経済が停滞し、新型コロナの感染拡大で所得が減少していることに不満を強めている。プーチン氏が首相から大統領に復帰した翌年の13年から7年間の国内総生産(GDP)伸び率は年平均で1%にとどまり、20年はマイナス3%に悪化した。

一方、ナワリヌイ氏が主導する反体制派は、モスクワ東方の矯正収容所に収監され、体調の急激な悪化が伝えられる同氏の釈放を求めて、21日夜に全国の都市で抗議集会を開くよう呼びかけた。検察当局がナワリヌイ陣営の活動を事実上停止させるよう裁判所に求めたことにも強く反発している。

反体制派はモスクワでの開催場所をプーチン氏が年次教書演説をした会議場のある広場に定めたが、治安当局は21日までに相次ぎ反体制派幹部を拘束した。集会開催の阻止に動いていおり、各地で多数の逮捕者が出て、内政の緊張が高まる可能性がある。

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