/

メルケル後継候補、独与党はラシェット氏 緑の党と争う

次の首相を目指す独与党CDUのラシェット党首=AP

【ベルリン=石川潤】ドイツの与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が9月の連邦議会選挙(総選挙)の顔となる首相候補にCDUのアルミン・ラシェット党首(60)を選出した。CDU幹部会が20日未明に決定し、対抗馬だった姉妹政党、CSUのゼーダー党首も受け入れた。ラシェット氏は秋に引退するメルケル氏の次の首相の座を緑の党などと争う。

「サイは投げられた。アルミン・ラシェットが首相候補になる」。ラシェット氏と首相候補の座を激しく争ってきたゼーダー氏は20日、ラシェット氏を支持する考えを記者団に示した。CDU幹部会が20日未明にラシェット支持を決定してから約半日、ドイツの最大政党の権力争いがようやく幕を下ろした。

CDUとCSUは姉妹政党で、統一の首相候補を決めて総選挙を戦う。議員数が多いCDU党首が首相候補になるのが通例だ。ところが今回は、コロナ対策の不手際でラシェット氏の人気が低迷した。同氏では9月の選挙を戦えないと判断した議員らが、世論調査で高い支持を集めるCSUのゼーダー氏になびいたことで混乱が広がっていた。

ラシェット氏はメルケル氏に近い中道派だ。ラシェット氏が首相候補に決まったことで、メルケル時代のリベラル路線を引き継ぎ、経済を重視した現実的な外交を進める道が開けた。最大州の西部ノルトライン・ウェストファーレン州首相でもあるラシェット氏は、メルケル時代の16年間の安定と経済的な繁栄を引き継ぐ立場といえる。

もっとも、チームプレーヤーを自任するラシェット氏は協調型のリーダーで、危機の局面では優柔不断と受け取られることも多かった。世論調査の支持率ではゼーダー氏に大きく後れを取っており、CDU・CSUは不人気のリーダーを抱えて5カ月後の総選挙に臨むことになる。

新型コロナウイルスの感染が広がるなか、権力争いに明け暮れてきた与党に有権者は冷ややかな目を向ける。CDU・CSUの支持率は1年前には4割近かったが、足元では3割を下回っている。依然として支持率1位だが、気候変動への危機感の高まりで支持を集める緑の党との差は7ポイント程度に縮まってきた。

ライバルの緑の党は19日、首相候補に40歳、女性のアンナレーナ・ベーアボック共同党首を選出した。同じ共同党首のハベック氏が有力とされた時期もあったが、最終的には安定感で勝るベーアボック氏が選ばれ、ハベック氏も支える姿勢を示した。

緑の党の首相候補、ベーアボック共同党首=AP

ベーアボック氏は経験不足への批判を逆手にとって、ドイツの政治には「刷新」が必要だと強調する。保守政党を率いる60歳、男性のラシェット氏とは好対照で、メルケル時代からの変化を求める世論を追い風にする狙いがにじむ。

総選挙では各党が首相候補を立てて戦い、勝利した党の首相候補が原則、次の首相となる。実際には選挙後の連立交渉で、いかに多数派を形成するかが焦点になる。

CDU・CSUに4割近い支持率があれば、同党抜きの連立は考えにくく、CDU・CSUの首相候補がそのまま首相になる可能性が高い。ただ、現在のように3割を割り込む支持率であれば、CDU・CSUを外して、緑の党やドイツ社会民主党(SPD)などで連立を組むことも可能となる。

CDU・CSUはラシェット氏のもとで支持率の低下に歯止めをかけ、盛り返すことができるのか。ワクチン普及の加速などで新型コロナの第3波を抑え込むことが、その出発点となる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン