米欧、ウクライナに重火器を追加供与 東部攻勢に対抗

【イスタンブール=木寺もも子、ワシントン=坂口幸裕】日米欧は19日、ウクライナ問題を巡ってオンラインの首脳会議を開き、ロシアへの経済的圧力を強めることなどで一致した。ウクライナ東部ではロシアが2州全域の制圧に向けて攻勢を強化しつつあり、各国がそれぞれウクライナへ重火器などの軍事支援を強化することも話し合われたもようだ。
首脳会議には、主要7カ国(G7)とウクライナに国境を接するポーランド、ルーマニア、欧州連合(EU)の各首脳、北大西洋条約機構(NATO)の事務総長が参加した。米CNNは同日、米政府が新たに8億ドル(約1000億円)相当の軍事支援を検討していると報じた。
ジョンソン英首相は首脳会議後に出席した英議会で「これは重火器の戦いになる。もっと重火器が必要になる」と述べ、支援を強化する考えを表明した。カナダも重火器を追加供与する方針を明らかにした。ドイツのショルツ首相は記者会見で、各国と支援内容を調整しているとした上で、対戦車砲や長距離砲を提供する考えを示した。
米国防総省は、ウクライナが19日までに支援国から追加の軍用機や修理部品を受け取ったと発表した。米国からではないとしたうえで、国名は明かさなかった。
ロシアのラブロフ外相は19日、親ロ派が一部を実効支配してきた東部のドネツク、ルガンスク両州の全域を「解放する」として、東部での軍事作戦が新たな段階に入ったと説明した。米国防総省高官は同日、ロシアが東部で作戦を開始したとしたうえで「これらの攻撃はロシアが計画している、より大規模な攻撃作戦の前触れだと考えている」と記者団に語った。
英国防省は19日、ロシア軍による東部2州への砲撃やミサイル攻撃が「激しさを増し続けている」との分析を公表した。ウクライナ軍が多くの地点でロシア軍を撃退しているとも指摘した。ルガンスク州知事によると、ロシアは同州のクレミンナ市を制圧した。ウクライナのメディアによると、ドネツク州マリンカではウクライナ軍がロシア軍を撃退した。
一方、ロイター通信によると、ロシア国防省は19日夜、南東部の港湾都市マリウポリの製鉄所に立てこもるウクライナ兵に対して再度の降伏勧告をした。モスクワ時間の20日午後2時から攻撃を停止することを提案した。ロシアは17日にも投降を求めたが、ウクライナ側は拒否して抗戦の構えを示した。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は19日、戦時下のウクライナ経済が破綻しないようにするのは「義務だ」と述べ、緊急支援を既存の14億ドル(約1800億円)から増額する可能性に言及した。戦後復興の支援とは別とみられる。ウクライナのシュミハリ首相は21日、米ワシントンで世界銀行、IMFや主要国高官との協議に臨む。
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