ドイツ、ロックダウンを強化 医療用マスク義務づけ

【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相は19日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、ロックダウン(都市封鎖)を強化すると発表した。商店やレストラン、学校の閉鎖を続けるほか、買い物や公共交通機関で医療用マスクの着用を義務づける。感染力の高い変異種の脅威が高まっており、メルケル首相は「今行動しなければならない」と訴えた。
連邦政府と各州が19日夜(日本時間20日朝)に合意した。ロックダウンの期間はこれまで1月末までとしていたが、少なくとも2月14日まで延長する。
今回の対策の柱がマスク着用義務の強化だ。これまでは繰り返し使える布マスクを使う人が多く、感染抑止の効果が限られているとの指摘があった。今後は店内やバス、電車などに乗る際、米国労働安全衛生研究所の規格「N95」に相当する欧州の規格「FFP2」や、OPマスクと呼ばれる医療用マスクの着用が義務づけられる。
さらに企業には在宅勤務を増やすように促す。在宅勤務は昨年春と比べても十分広がっておらず、電車の混雑などの原因にもなっていた。

ドイツは12月半ばに商店、学校を閉鎖する本格的なロックダウンに踏み切り、1月初めには感染の深刻な地域の住民の移動を半径15キロまでに制限する措置を導入していた。新規感染者数は1日あたり1万人強で、3万人を超えた12月後半に比べると落ち着きを取り戻しつつある。
それでもドイツが次の一手に動いたのは、英国などで変異種が爆発的に広がり、危機感を募らせたためだ。学校の再開を求める声もあったが、変異種は子供にも広がるとされることから、原則閉鎖を続けることにした。
ドイツ政府が重視する人口10万人あたりの7日間累計の感染者数は130人を超える。感染が再び拡大して制御不能となる前に、できるだけ早く目標の50人まで引き下げたいというのがメルケル首相の考えだ。