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北極圏、持続型の開発を 評議会閣僚会合で一致

(更新)
北極圏でも温暖化の影響は出ている=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】アイスランドの首都レイキャビクで開かれている北極評議会の閣僚会合が20日閉幕した。地球温暖化で北極圏のビジネス機会が増えていることを念頭に、同地域の持続可能な開発を進めることで一致した。開発のルールづくりが課題となるが、北極海航路などの各論では各国に温度差がある。

北極圏に位置する8カ国で構成する北極評議会の閣僚会合は隔年で開かれ、ブリンケン米国務長官やロシアのラブロフ外相らが参加した。前回2019年にフィンランドで開かれた際は、トランプ米前政権が気候変動を巡る文言に反対して共同宣言を出せなかった。今回は閣僚による「レイキャビク宣言」を公表し、今後10年を見据えた初の戦略計画を採択した。

北極圏には石油や天然ガスなどの豊富な資源が埋蔵されている。米地質研究所によると、世界の未発掘の石油の13%、天然ガスの30%が存在するという。レイキャビク宣言は、温暖化による氷河融解などで開発が可能になりつつあると認めた上で「活動は持続可能で透明性が確保されなければならない」と指摘。野放図な開発に歯止めをかけるとともに、気候変動などに配慮する必要性を強調した。

30年までの戦略計画では、環境保護や持続可能な経済成長などで7つの目標を明記した。具体的な行動として、船舶から出る大気汚染物質「ブラックカーボン」や海洋ごみの削減を列挙。資源開発や航行のルールづくりの必要性も指摘した。

北極評議会は気候変動の影響や、持続可能な経済開発のルールづくりなどを討議し、原則として軍事・安全保障分野は扱わない。だが安保と経済開発は背中合わせだ。関係者によると、今回の関連文書の擦り合わせでは米国とロシアで大きな意見の違いは見られなかった。

しかし23年の次回閣僚会合に向けて具体的なルールづくりが本格化すれば、対立が浮かび上がる可能性が高い。まず焦点になるのが北極海航路だ。温暖化でロシアの北を通る同航路の利用は増加している。ノルウェーのノード大学の集計によると、20年には利用数が過去最高を記録した。

同航路は天然ガスなど資源をアジアに短時間で運ぶルートとして人気が高まっている。ロシアは外国船に航行の事前申告を求めるなど自国が有利になるルールづくりを目指しているが、他国は反発している。バイデン大統領は19日の演説で、ロシアが権益拡大を目指す北極海などに言及したうえで「中国やロシアといった国々の問題行動による挑戦にさらされている」と語った。

北極圏では中国もグリーンランドの資源事業への投資を通じて影響力拡大に動いている。現状では開発を巡る包括的なルールがない北極圏で、各国の協力関係をつくれるかが今後の注目点となる。

北極評議会 北極圏の持続可能な開発や環境保護を目的に1996年に設立された。加盟国は米国、ロシア、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの8カ国。先住民の6団体も参加するほか、日本や中国、インドなどがオブザーバー資格を持つ。事務局はノルウェー・トロムソ。閣僚会合が2年に1回開かれる。

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