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EUがインド太平洋戦略 中国念頭、安保・経済で積極関与

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は19日、インド太平洋戦略の策定に着手すると発表した。経済面での成長性や安全保障面での緊張を考慮し、EU27カ国として同地域に関与すべきだと判断した。インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国との経済・安保面の結びつきを強め、この地域で影響力を強める中国をけん制する狙いがある。

インド太平洋地域を巡っては、EU内ではフランスやドイツ、オランダが独自に指針をまとめている。EUとして共通の戦略をつくり、積極的に関与する姿勢を示すことで同地域での存在感を高める構えだ。

同日、EUの閣僚理事会が「インド太平洋での協力に向けた戦略」についての方針を採択。9月までにボレル外交安全保障上級代表と欧州委員会に具体案をまとめるよう求めた。

EUは採択した文書で「民主主義や法の支配、人権、国際法を推進し、インド太平洋地域での存在感を強める」と説明。日本やオーストラリアなど地域の有志国との連携を深め、サイバー攻撃や海洋安全保障に協力して対応するとの姿勢を打ち出した。EUは1月の外相理事会に茂木敏充外相を招いたほか、5月にはインドとの首脳会議を開く予定だ。

EUは中国と投資協定を結ぶことで2020年末に大筋合意した。だが、香港や少数民族ウイグル族の人権問題に加え、南シナ海での安保上の緊張を高めるような行為に懸念を深めている。経済面の果実を得たい一方、EUが重視する基本的な価値観を軽視する中国には強い姿勢をとらざるを得ず、難しい立ち位置にある。文書は、同地域での「地政学的な競争が高まっている」と表明した一方、中国の名指しは避けた。

実際にEUにはインド太平洋戦略をつくることに慎重な加盟国もある。EU高官によると、中国と関係が深い東欧の一部が中国を過度に刺激することは避けるべきだ主張しているという。EUの戦略に「協力」の文字を入れたのは、中国との対立ではなく、あくまでインド太平洋の国々との関係強化につなげることを前面に押し出す意味合いがある。

今後の具体的な戦略では、地域での通商外交を推進することで、サプライチェーン(供給網)の多様化につなげることなどを示した。新型コロナ禍では医療品や自動車部品の供給が途絶し、中国への行き過ぎた依存が問題になった。

安保面でも「インド太平洋での意味のある欧州の海軍の存在は重要」と積極的に関与する姿勢を強調した。もっともEU本体は軍事的な機能をほとんど持たないため、安保面ではどれだけ実効性を出せるかは不透明な面が残る。南太平洋に軍事拠点を持つフランスを中心に、加盟国が主導的な役割を果たすとみられる。

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