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韓国、UAEに兵器4千億円輸出へ 中東と防衛協力強化

【ソウル=恩地洋介、カイロ=久門武史】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が21日まで歴訪した中東で、防衛協力の強化を打ち出した。アラブ首長国連邦(UAE)へは4千億円規模の兵器輸出をまとめた。同国やサウジアラビアは米国頼みの安全保障を多角化しようとしており、防衛産業を育成する韓国の接近は渡りに船だ。

韓国とUAEは16日、文氏の訪問に合わせて国防技術協力に関する覚書を交わした。UAEアブダビ首長国のムハンマド皇太子と17日に電話した文氏は「次世代戦闘機の開発と生産でも協力を拡大したい」と伝えた。

韓国防衛事業庁によると、文氏の訪問に合わせ、韓国の防衛装備品大手のハンファシステムなどが生産するミサイル迎撃システムの輸出が決まった。契約規模は35億ドル(約4千億円)で、単独兵器の契約としては過去最大だという。ミサイルシステムはレーダーや発射台、誘導弾を搭載し、韓国軍が実戦配備している。

韓国は官民で活用促進に取り組む水素エネルギーを巡っても、UAEとの間で共同研究や金融支援に関する覚書を交わした。

18日に訪れたサウジでムハンマド皇太子と会談した文大統領は兵器輸出に関し「技術移転を通じ、サウジの現地生産を最大限支援する」と伝えた。皇太子は「サウジは2030年までに防衛産業の国産化を目標にしている。韓国は経験を持つよいパートナーだ」と応じた。

続いてエジプト入りした文氏はシシ大統領と会談した。共同発表文には自走砲の輸出契約へ交渉を続ける方針が盛り込まれた。

韓国政府は防衛産業の育成に注力しており、積極的な「首脳ビジネス」で海外輸出を推進している。文大統領が2021年12月にオーストラリアを訪れた際には、韓国のハンファグループが豪政府と10億豪ドル(約810億円)分の自走砲などの調達契約を交わした。

親米のUAEやサウジ、エジプトは防衛協力や兵器輸入でも伝統的に米国と関係が深いが、米軍は中国との競争を重視し中東への関与を減らしている。昨年8月にアフガニスタンから撤収し、12月にはイラクでの戦闘任務を終えた。米シェール革命や脱炭素の流れで米国と中東の関係が変質するなか、中東主要国は武器の調達先の分散に動いている。

UAEは昨年12月、フランスのダッソー社の戦闘機ラファール80機を購入すると決めた。過去最大の約160億ユーロ(約2兆円)の大型商談と伝えられた。直後にUAEが米国から最新鋭のステルス戦闘機F35を購入するための交渉を中断したことが明らかになった。

米CNNは昨年末、サウジが中国の協力を得て独自の弾道ミサイルを製造しているとの米情報機関の分析を伝えた。エジプトもロシアや欧州からの調達を増やし、昨年5月にラファール30機を契約している。

3カ国とも世界屈指の兵器輸入国だが強権的な体制で、人権重視のバイデン米政権は時に煙たい存在だ。欧州やアジアの兵器輸出国は米国ほどイスラエル対アラブの軍事バランスを気にしておらず、付き合いやすい事情もありそうだ。

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