ダイムラー、「最強」F1チームへの出資比率を半減

【フランクフルト=深尾幸生】独ダイムラーは18日、自動車レースの最高峰、フォーミュラ・ワン(F1)の自社チームへの出資比率を現在の60%から33.3%に減らすと発表した。新たな株主に欧州化学大手のイネオスを迎える。ダイムラーの高級車事業会社メルセデス・ベンツは本業で電気自動車(EV)への注力を鮮明にしており、その影響もあるとみられる。
メルセデスのF1チーム「メルセデスAMGペトロナス」は2014年から7年連続で総合優勝し、20年も17戦中13戦で勝利するなど圧倒的な強さを誇っている。こうしたなかで21年シーズンからイネオスとダイムラー、チームの代表を務めるトト・ヴォルフ氏の3者がそれぞれ対等な出資比率とする。出資比率変更の方法などについては明らかにしていない。メルセデスは引き続き車体やエンジンの供給を続ける。
イネオスはメルセデスと関係が深い。イネオスは四輪駆動車「グレネーディア」で自動車の生産・販売に参入する計画を持つ。その生産のためにダイムラーのフランスの工場を買収した。この工場ではイネオスがグレネーディアを21年後半から生産するほか、小型車「スマート」を受託生産することが決まっている。
F1をめぐっては10月にホンダが21年シーズンを最後に撤退することを発表。研究開発などの資源をEVなどの電動車に集中させることが背景にあった。英マクラーレンは13日、レース部門の株式の一部を米投資会社に売却したことを発表した。
ダイムラーのオラ・ケレニウス社長は10月、ホンダの発表をうけ、「バイエルン・ミュンヘンがサッカーから撤退しないのと同様に、F1をやめる理由はない」と話していた。一方で「今後3年で財務への影響は半分にする、全社よりも厳しいコストダウン目標を課している」としていた。
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