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トルコ政権、クルド政党締め付け 「人権改善」に矛盾 

米欧との関係改善に暗雲

記者会見するHDP共同党首ら(18日、アンカラ)=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ政府が少数民族のクルド人主体の政党への締め付けを強めている。著名議員から資格を剥奪したほか、検察は党の解散を裁判所に求めた。エルドアン政権は人権状況や司法の改革を掲げるが、言動の矛盾ぶりを露呈している。人権問題を重視する米欧との関係改善にも水を差しそうだ。

トルコの憲法裁判所は31日、クルド系政党の国民民主主義党(HDP)を解散させるべきだと主張する検察の訴えを受理するかどうかを審議する。

エルドアン政権の強い影響下にある検察当局は3月中旬、HDPがテロ組織として認定されているクルド労働者党(PKK)と結託し、国家の分裂をたくらんでいるなどと主張していた。国会で第3党の地位にあるHDPは不当だとして反発している。

トルコのクルド系人口は東部を中心に約1500万人といわれ、人口の2割弱を占める。トルコ語とは異なるクルド語を母語とする。かつては公の場所での使用を禁じられるなど弾圧されてきた。

1980年代からは、分離・独立を求めるPKKと政府が血みどろの抗争を繰り広げ、4万人超が犠牲になった。2003年から国政を率いるエルドアン大統領は一時、和平を探ったが、支持基盤である保守層の反発などを理由に姿勢を転換した。

15~16年にかけては激しいPKK掃討作戦を実施、16年には当時のHDP共同党首がPKKを支援したなどとして逮捕・起訴され現在も収監中だ。HDP出身の公選首長の免職や拘束も相次ぐ。国会は17日、テロを扇動したなどとして、欧米などでも著名な人権活動家のオメル・ゲルゲルリオール氏の議員資格を剥奪した。

目下の対HDP弾圧の高まりの背景には、エルドアン氏の与党・公正発展党(AKP)と事実上の連立を組む極右の民族主義者行動党(MHP)の存在がある。経済状況の悪化でAKPの支持率が低下するなか、第4党ながら政権内で急速に発言力を強めている。

内政事情による少数民族政党への弾圧は、関係改善を目指す米欧からの不信を深めかねない。トルコ政府は3月上旬、人権状況や司法の改革をうたう「人権行動計画」を打ち出したばかりだが、言行不一致ぶりは明白だ。

20日には女性へのドメスティックバイオレンス(DV)防止を目指す国際条約からも脱退を表明した。ドイツのマース外相は23日、一連の動きに対して「トルコは誤ったシグナルを送っている」と批判。米国務省も「トルコの民主主義をさらに傷める」と懸念を表明した。トルコ外務省は「内政干渉だ」と反発した。

合法政党であるHDPへの弾圧は、クルド系有権者の政治不信を強め、中長期的な国内治安や国境周辺地域の安定を損なうことにもなりかねない。クルド人は国境を挟んでシリア、イラク、イランにも暮らす。一部は過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘に加わり、PKKとも協力関係にある。

HDPを国政から締め出せば、PKKなどの非合法武装勢力を勢いづかせるなど社会不安にもつながりかねない。

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