LME、アジア時間のニッケル取引再開を延期 不正発覚で
【ロンドン=大西康平】ロンドン金属取引所(LME)は17日、20日に再開を予定していたニッケルのアジア時間の取引を27日に延期すると発表した。LMEが認可する業者が倉庫で保管していたニッケル6337件のうち9件が、条件を満たさないものだったとの不正が発覚したためという。
ニッケル取引を巡っては、LMEが22年3月にニッケルの取引を停止した際に一部の約定を取り消し、市場や参加者に混乱が広がった。このため、LMEはニッケルのアジア時間の取引をやめ、取引開始時間をロンドン時間午前1時から午前8時に遅らせていた。1月の第三者機関による最終報告書の発表など、事後検証にめどがついたとして再開を予定していた。
ところが英国の金融行為監督機構(FCA)が3月、22年3月のニッケルの取引停止について強制捜査を始めたと発表した。LMEは香港取引所傘下で、約定取り消しは中国のニッケル生産大手、青山控股集団の先物売りの損失を救済するための対応だったとの市場の推測は根強い。仮に27日に売買を再開したとしても、LMEの信頼回復はいっそう難しくなりそうだ。