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ドイツ緑の党、首相候補にベーアボック氏 9月総選挙 政権奪取も

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緑の党のベーアボック共同党首=ロイター

【ベルリン=石川潤】ドイツの環境政党、緑の党は19日、9月の連邦議会選挙(総選挙)を率いる首相候補にアンナレーナ・ベーアボック共同党首(40)を選んだと発表した。気候変動問題への危機感の高まりを追い風に、緑の党は最大与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を追い上げている。ドイツ初の緑の党出身の首相誕生の可能性も浮上してきた。

「この国には新たなスタートが必要だ」。ベーアボック氏は19日、5カ月後に迫った総選挙への意気込みを語った。ベーアボック氏は脱石炭の前倒しを主張する一方で、産炭地への配慮を示す現実的な側面も持つ。選挙戦では2030年以降の排出ゼロ車以外の販売禁止など、より踏み込んだ環境政策を訴えていくとみられる。

1980年生まれのベーアボック氏は、ベルリンの壁崩壊を8歳で迎えた新しい世代の政治家だ。大学で政治学と法学を学んだ後、2013年に連邦議会議員となり、18年からハベック氏と緑の党の共同党首を務めてきた。連邦政府や州政府での経験はなく、政権運営の手腕は未知数な部分も残る。

ドイツは9月26日に総選挙が控えている。16年間首相を務めたCDU・CSUのメルケル氏は政界引退を表明済みで、主要各党がそれぞれの首相候補を掲げて選挙戦を戦う。勝利した党の首相候補が原則、次の首相の座をつかむ。

ドイツの調査機関、インフラテスト・ディマップの最新の世論調査によると、緑の党の支持率は21%で、CDU・CSUの28%に次ぐ第2位だ。コロナ対策の混乱やワクチン接種の遅れで支持率が急低下したCDU・CSUに対し、緑の党の支持率は安定しており、両者の差は縮まりつつある。

ドイツでは当初、秋の総選挙後はCDU・CSUと緑の党の連合が有力で、首相はCDU・CSUが出すとみられてきた。だが、CDU・CSUの支持率が下がったことで、緑の党がドイツ社会民主党(SPD)などと組んで政権を奪うシナリオも現実味を帯びてきた。緑の党は過去に連立政権に参加したことはあるが、首相を出したことはない。

欧州ではベルギーやオーストリアなどで緑の党が政権入りし、欧州議会でも議席の約1割を占める。多くの主要政党が緑の党を意識した積極的な環境政策を打ち出している。緑の党が欧州最大の経済大国であるドイツで躍進すれば、欧州の環境重視の流れが一段と強まりそうだ。

メルケル時代からの変化を求める空気が強まっていることも、緑の党には有利に働いている。二大政党の一角である中道左派、SPDが振るわないことも、左派・リベラルの有権者を緑の党に引き寄せている。

もっとも、緑の党の人気は都市部や若者が中心で、農村部や旧東独などで広がりを欠く。インテリや都会派の党というイメージを覆し、現実的な政策で支持の裾野を広げられるかが政権獲得への課題になる。6月の独東部ザクセン・アンハルト州での州議選が試金石だ。

メルケル氏が所属する保守系与党のCDU・CSUはまだ首相候補を決めていない。CDUのラシェット党首とCSUのゼーダー党首が権力争いを終わらせ、支持率を回復できるかも焦点となる。

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