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アフリカ、ワクチン接種遅れ鮮明 インド輸出制限響く

ワクチンが手に入らずアフリカ諸国の接種が遅れている(3月、ケニア)=AP

【カイロ=久門武史】アフリカの新型コロナウイルスワクチンの接種の遅れが鮮明だ。接種回数は世界の2%にとどまる。財源が乏しい国が多く、一大供給源のインドの輸出制限も遅れに拍車をかける。行き渡るのは多くの国で2023年以降との見方があり、経済回復も後手に回る懸念が強い。

英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、世界人口の2割を占めるアフリカ大陸でのワクチン接種回数は約1500万回と世界の2%にとどまる。米紙ニューヨーク・タイムズがまとめた100人あたりの接種回数はアフリカの1.1に対し北米が39、欧州は23で、先進国との格差は大きい。

南アフリカのラマポーザ大統領は12日、「アフリカの多くの国が直面する難題は、ワクチン供給があまりに遅いことだ」と訴えた。アフリカは財政事情から自前で十分な量を調達できない国が多い。新型コロナワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」が頼りで、2月のガーナ向けから始まったが、スムーズに進んでいない。

番狂わせとなったのが、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大が開発したワクチンを大量生産するインドの輸出制限だ。国内向けの確保を優先したもようだ。アフリカ疾病対策センターのヌケンガソン事務局長は記者会見で「遅れが続けば、接種スケジュールに壊滅的な影響を与える」と懸念を示した。

代わりの選択肢となる米ジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンについて、米当局が接種中断を勧告したことも逆風だ。接種後にまれに深刻な血栓が生じる事例が報告された。南アフリカは因果関係を見極めるため、このワクチンの接種を一時停止すると表明した。

こうしたなか存在感を高めるのが中国だ。北京を拠点とするコンサルタントのブリッジ・コンサルティングによると、中国は既にアフリカに670万回分のワクチンを供給した。寄付を約束したのは455万回分にのぼり、有償と合わせてアフリカの27カ国に供給するという。エジプトは8日、中国の製薬会社、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)とワクチンの国内生産で合意したと発表した。

それでも大陸全体に行き渡るのには時間がかかる。英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、南アフリカやエジプトを除く大半のアフリカの国で、大人の6~7割が接種を済ませるのは23年以降との見方を示した。

接種の遅れは経済回復の足を引っ張る。国際通貨基金(IMF)はサハラ砂漠以南のアフリカ諸国について「21年に世界で最も経済成長の鈍い地域になる」と予測した。今年の成長率は前年比3.4%と、世界全体(6.0%)を大きく下回るとみている。

先進国でワクチンが普及しても、アフリカの出遅れを放置すれば新型コロナの抑え込みは遠のく。接種で先行する国が遅れた国との往来を制限し、経済格差を悪化させるとの懸念もある。ケニア外務省は4月に入り、英国がケニアを渡航制限の対象に加えたことに反発し「ワクチン・アパルトヘイト」だと批判する声明を出した。

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