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米ロ 関係悪化に拍車 バイデン氏発言で駐米大使が帰国

バイデン氏㊧がプーチン氏を批判する発言をしたことにロシアは猛反発している(写真は2011年、モスクワ)=ロイター

【モスクワ=小川知世、ワシントン=中村亮】米ロ関係の悪化に拍車がかかっている。バイデン米大統領がロシアに批判的な発言をしたのに反発し、ロシア外務省は17日、対米政策を協議するためにアントノフ駐米大使を一時ロシアに呼び戻すと発表した。対立激化は核軍縮やアフガニスタン和平などでの米ロ協力にも影を落としそうだ。

ロシアは17日に放送されたABCテレビによるバイデン氏のインタビューの内容に激しく反発した。同氏はロシアのプーチン大統領を人殺しと思うかと問われ、「そう思う」と答えた。2020年に起きたロシア反体制派指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂などが念頭にあるとみられる。

16日には米情報機関が20年11月の大統領選でロシアが世論工作などを試みたとの報告書を公表した。バイデン氏はインタビューでプーチン氏が「代償を支払うことになる」と警告した。具体策は「近く分かる」と述べ、米メディアでは来週にも対ロ制裁を強化する可能性が報じられている。

ロシアは大使の呼び戻しという異例の対応で不満をあらわにした。外務省は声明でバイデン氏の発言には触れず、駐米大使との協議で「深刻な状態にある米ロ関係をどう正常化できるかを見定める」と説明した。駐米大使は20日に出発を予定する。政権内では「(バイデン氏は)関係改善を確実に望んでいない」(大統領報道官)などと批判が噴出している。

ロシアはかねて取り沙汰されていたロシア国債の取引禁止などの厳しい制裁を警戒している。バイデン氏の発言を受け、外国為替市場でロシア通貨ルーブルは対ドルで下落した。シルアノフ財務相は17日、国債に制裁が発動された場合は中央銀行と協力して資金の流動性を確保すると説明し、制裁リスクに対する市場の懸念の沈静化に動いた。

バイデン氏の対ロ強硬発言は内政を意識した面もある。同氏はトランプ前大統領がプーチン氏との個人的な関係を重視し米国の利益を軽視したと批判してきた。ロシアに厳しい対抗措置をとればトランプ氏からの転換を印象づけることができ、超党派の支持を取り付けやすいとの読みがある。

関係悪化は米ロが駆け引きする核軍縮やアフガニスタン和平などの交渉もさらに難航させる可能性がある。ロシアは17日の外務省声明で「米国側がリスクを認識しているならば、取り返しのつかない(関係の)悪化を防ぐことに関心がある」とも表明した。

ロシアは18日、モスクワで米国や中国などの関係国代表やアフガン政府と反政府武装勢力タリバンによる和平会議を開いた。米国が5月に迫るアフガン駐留軍の撤収を延期するかの判断に迫られるなか、ロシアは会議を主催して地域への影響力を強調したい考えだ。

米国は国連主導の多国間協議の開催を計画し、事態の打開を探る。ロシアはタリバンに一定の影響力を持っており、同勢力の発言権が増すことを米国は警戒する。

バイデン政権はロシアがタリバンに報奨金を支払って、米兵殺害を促していた疑いについても調査を進めている。米ロ間には対立の火種が山積しており、関係の改善はいっそう見通せなくなっている。

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