英EV電池スタートアップが破綻 国内生産、EUに後れ

【ロンドン=佐竹実】英スタートアップのブリティッシュボルトが経営破綻したことが17日、分かった。電気自動車(EV)向け電池の「ギガファクトリー」の建設を目指していたが計画が遅れ、資金繰りに行き詰まった。英政府は国内でEVを生産するために電池生産を拡大する計画だったが、同社の破綻で先行きが不透明になってきた。
大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)が17日、管財人に指名された。今後、事業や資産の売却などの処理を進める。EYは「事業継続に必要な資金を確保できず、(英国のエネルギー転換という)目標を達成できなかったことは残念だ」とコメントした。
ブリティッシュボルトは英北東部ブライスの旧発電所の敷地にギガファクトリーを建設し、2023年末までにリチウムイオン電池の生産を始める計画だった。政府から1億ポンド(約157億円)の支援も取り付けていた。英BBCによるとブリティッシュボルトは22年、1億ポンドのうち3000万ポンドの支援を政府に求めたが、建設計画を達成していないとして拒否されていた。
英国では日産自動車と中国系のエンビジョンAESCグループ(神奈川県座間市)がEV向けリチウムイオン電池の工場を建設している。ブリティッシュボルトの破綻により、英国の電池工場は日産のみとなった。欧州連合(EU)では35のバッテリー工場が計画または建設中で、英国は後れを取っている。
英政府はEV普及に向け、30年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、35年までにハイブリッド車(HV)の販売も禁じる計画だ。充電設備を拡充しているほか、国内のEV生産を増やすためにバッテリー工場も支援すると表明していた。
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