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国連、世界の温暖化ガス排出30年に16%増 「対策強化を」

欧米各国は途上国に脱石炭を促す(インドの石炭火力発電所)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】国連気候変動枠組み条約事務局(本部・独ボン)は17日、2030年の温暖化ガスの排出量は世界全体で10年比16%増えると分析した報告書を公表した。途上国を中心に踏み込んだ排出削減目標を出していないためで、報告書は「早急に気候変動への取り組みを強化すべきだ」と各国に呼びかけた。

報告書は各国が提出した30年の温暖化ガスの排出削減目標がパリ協定の目標に合致しているかどうかを分析。パリ協定は気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざす。

2月の暫定報告書では欧州連合(EU)、英国など75カ国・地域を分析した。今回は米国やカナダなど新たに国連に提出された約40の目標を対象に加えた。世界の温暖化ガス排出量の49%を占める。

日本は4月、30年度の目標を13年度比26%減から46%減に引き上げた。46%減目標は現段階では提出されておらず、今回の報告書には反映されていない。条約事務局は今後も追加で出された目標を統合して、10月下旬に報告書を更新する予定だ。

対象になった国・地域の計113の目標の分析では、30年の排出量は10年比で12%減る。一方で新目標を提出していない国を含めて試算すると、世界全体では16%増えるという。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、パリ協定の目標達成には25~45%減らす必要がある。

10月31日には英グラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開幕する。50年の排出を実質ゼロにすると表明し、30年時点の目標も公表した先進国は、パリ協定達成には途上国の対応がカギになるとして、排出の多い中国やインドへの説得を強めている。

先進国の世界全体の排出に占める割合は4割程度で、世界の排出を大きく減らすには途上国の取り組みが欠かせないからだ。中国は20年に60年に二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする方針を示したが、中国もインドも30年目標は15~16年時点の古い内容のままだ。

12日には米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)がインドを訪れ、環境やエネルギー政策を担当する閣僚と会談した。ケリー氏はインドの再生可能エネルギーの大量導入の実績を評価し、それを反映した目標を提出するよう促した。

EUのティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は中国の解振華担当特使と「常に連絡をとり、もっと野心を持つよう説得している」と、14日の欧州議会で説明した。

報告書公表に先立って日本経済新聞などの取材に応じた条約事務局のエスピノサ事務局長は「COP26前までに新目標をみられることを期待している」と語った。

途上国にも言い分はある。インドなどではなお電気のない生活を送る人々もおり、経済発展を重視する。排出減と両立させるためには先進国からの支援が必要との主張だ。

COP26では20年までに先進国が年1000億ドル(約11兆円)を支援するとしていた約束の後継目標が主要議題の一つになりそうだ。経済協力開発機構(OECD)の17日の発表によると、19年は796億ドルにとどまった。

20年も約束に届かない公算は大きく、途上国は上積みを求めている。17日にはバイデン米大統領が主要国・地域と首脳レベルのオンライン会合を開き、パリ協定達成に向けた具体策を話し合った。

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