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化石燃料へ新規投資停止 IEA、50年脱炭素へ工程表

ガソリン新車は35年に販売ゼロ

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温暖化ガスの排出ゼロには再生可能エネルギーの大規模普及は欠かせない(スペインの風力発電所)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】国際エネルギー機関(IEA)は18日、2050年までに世界が温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするための工程表を公表した。化石燃料への新規投資を即時に停止し、35年までにガソリン車の新車販売をやめる。50年にはエネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を約7割に引き上げる必要があり、脱炭素へ具体的な取り組みが求められる。

50年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにするのは、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が定める「産業革命からの気温上昇を1.5度以内に抑える」目標と合致する。主要国が相次ぎ「排出ゼロ」を表明したことを踏まえ、11月に英国で開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前にIEAが具体的な道筋を示した。

代表的な温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)でみると、燃料燃焼や産業工程からの排出量は20年で340億㌧だった。50年の温暖化ガス排出実質ゼロを宣言した日米EU(欧州連合)や、60年のCO2排出実質ゼロを宣言した中国など各国・地域の目標を集計すると、CO2排出量は30年に300億㌧になる。50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにするには、30年にCO2排出量を20年比で約4割減の210億㌧にする必要がある。

IEAのビロル事務局長は「(実質排出ゼロは)難しいが、達成可能だ」との声明を発表。各国政府がより強力な対策をとるよう求めた。

50年に排出量ゼロを目指すため、化石燃料供給のための新規投資を即時に取りやめたうえ、エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率が石炭や天然ガス、石油をそれぞれ抜き、30年時点で3割、50年時点で約7割にする必要がある。原子力の割合は11%に増える一方、石炭は50年までに20年比で9割減らす計算だ。

電気自動車(EV)への移行や新興国の経済成長で発電量は50年までに2倍強に増えるが、先進国は35年まで、世界全体では40年までに再生エネ導入などで電力部門の排出を実質ゼロにする必要がある。

輸送部門ではEV普及がカギだ。新車販売に占めるEVとプラグインハイブリッド車(PHV)などの割合は足元で4.6%だが、30年に6割、35年までにほぼすべてがEVと燃料電池車(FCV)になることが前提となる。ハイブリッド車は含まれない。

スウェーデンのボルボは30年に、米ゼネラル・モーターズ(GM)は35年にそれぞれ新型車をすべてEVにすると決めた。ホンダは40年までに世界中で発売する全ての新車をEVか燃料電池車(FCV)に切り替える方針だ。

30年まではすでに実用化した技術で減らすが、それ以降の排出減には新技術の活用が欠かせない。代表例が水素の活用と、CO2を地中に埋めたり再利用したりするCCUSだ。

燃焼してもCO2が出ない水素は50年には5億3千万トンと足元の6倍の生産量に増え、発電や輸送部門で活用される。

CCUSの普及拡大には世界レベルで炭素税などで炭素価格を導入することが欠かせない。CO2を大気に排出するよりも、地中に埋めたり、再利用したりするほうが得になる状況をつくる必要があるためだ。IEAは50年ゼロシナリオでCCUSで76億トンのCO2を取り込むと試算した。

エネルギー投資は20年までの5年間は年平均2.3兆ドル(約250兆円)で推移しているが、30年までに5兆ドルに引き上げる必要があると主張した。脱炭素の取り組みで化石燃料部門では500万人の雇用が減る一方で、30年に向けて1400万人の新規雇用が生まれ、世界の経済成長率を0.4ポイント押し上げると試算している。

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