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アフリカ感染第3波、ワクチン接種まだ1%台

米欧中ロ、影響力拡大へ製造支援

新型コロナの感染急増は経済回復の重荷に(5日、南アのワクチン接種会場)=ロイター

【カイロ=久門武史、イスタンブール=木寺もも子】アフリカが新型コロナウイルスの感染第3波に見舞われている。ワクチン接種が完了したのは人口の1%台にすぎないところに、感染力が強いインド型(デルタ型)が流入した。一部の国では感染急増が政情不安につながっており、各国がワクチン製造の支援に乗り出した。

「多くの国が危険な状況にある。第3波はかつてなく速く大きい」。世界保健機関(WHO)のモエティ・アフリカ地域事務局長は22日のオンライン記者会見で第3波への警戒を訴えた。アフリカ全体の死者数は累計で約16万人と、同日までの1カ月で2万人膨らんだ。

累積の感染者数は7月中旬までの1カ月で500万人から600万人に増えた。400万人から500万人になるのに3カ月かかっており、加速ぶりは鮮明。WHOはアルジェリアやセネガル、ルワンダなどで急増しているとみる。20年夏の第1波、20年末~21年初の第2波に続く感染拡大だ。

1日あたりの新規感染者は最近4万人前後で、人口でならせば日本と大差ない。ただ、アフリカはPCR検査の数も少なく、隠れた感染者が大量にいるとみられる。医療体制は脆弱で感染者が少し増えただけで病院がパンクする問題もある。

背景に都市封鎖緩和や公共衛生対策の不徹底などがあるが、最大の原因はワクチンの普及の遅れだ。アフリカは経済力の乏しい国が大半で、ワクチン購入に限界がある。

英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、アフリカで接種を完了した人は人口の1.5%にとどまる。累計の接種回数は約6100万回と、人口が10分の1の日本1カ国より少ない。域内最大の工業国、南アフリカでも、1度でも接種した人は8%、接種が完了した人は3%台だ。

新型コロナワクチンを共同購入し分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」に頼る国が多いが、インド企業が製造するアストラゼネカ製ワクチンの供給の遅れが響いている。

感染対策の行動制限は経済を下押しし、社会不安を高める。南アでは今月9日、前大統領の収監に抗議するデモをきっかけに、各地で商業施設が略奪や放火にあうなどの暴動が始まった。100カ所以上のワクチン接種会場や石油精製施設が閉鎖を余儀なくされ、主要な道路交通や港の運営にも影響が生じた。

欧米によるワクチンの域内製造の支援も始まった。国際金融公社(IFC)と仏独米の援助機関は6月末、南アの製薬大手アスペン・ファーマケアに6億ユーロ(約780億円)を支援し、ワクチンの受託製造を後押しすると表明した。

欧州連合(EU)の欧州委員会などは今月、西アフリカのセネガルにワクチン製造工場を建設することで同国と合意した。セネガルのホトゥ経済相は「アフリカで手ごろなワクチンが手に入るようになる」と歓迎した。

中国やロシアも影響力拡大へ攻勢をかける。エジプトは中国科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチンの製造を始めた。モロッコは中国医薬集団(シノファーム)と組んで生産する計画で、アルジェリアはロシア製「スプートニクV」を9月から製造する運びだ。

アフリカではワクチン廃棄や接種忌避も根深く残る。マラウイは5月、期限が切れた約2万回分を焼却処分した。タンザニアがCOVAXにワクチンを要請したのはようやく6月になってから。マグフリ前大統領が新型コロナの存在を否定していた。ウガンダでは水とみられる偽ワクチンが800人以上に接種される問題が明るみに出た。

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