エリザベス女王の弔問、寒空でも24時間待ち 19日に国葬

【ロンドン=中島裕介】8日亡くなった英国の女王エリザベス2世の棺(ひつぎ)が安置されている英議会議事堂へ弔問に訪れる市民の列が途絶えない。現地時間17日未明にはロンドンの気温はセ氏10度を下回ったが、当局によると行列の待ち時間は一時24時間に達した。19日の国葬に向け、各国の要人も英国に向かっている。
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女王の棺は、14日夕から19日朝まで議事堂のウェストミンスター・ホールに安置され、24時間一般市民の弔問を受け付けている。16日にはサッカーの元イングランド代表のデービッド・ベッカム氏も訪れ、一般の人々と一緒に13時間列に並んだ。
16日夜には、女王の棺を守る「寝ずの番」と呼ばれる儀式に新国王チャールズ3世、アンドルー王子ら国王のきょうだい3人が参加した。軍服を着た4人は一般の衛兵同様、棺に背を向けて女王を守るように立って10分程度頭を垂れた。
弔問の列には英全土だけでなく、外国から加わる人たちもいる。英当局は最長で約16キロメートルに及ぶと想定していたが、16日午前には一時、新たに並べない措置を講じた。
チャールズ国王とウィリアム皇太子は17日昼、行列をサプライズで訪れ、市民ら一人ひとりと握手しながら笑顔で会話を交わした。突然の訪問に喜んだ市民からは国歌の一節である「God Save the King」といった掛け声もあがった。

19日の国葬に向けて国外の要人も英国に向かっている。米国からはバイデン大統領夫妻が、中国からは王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席が参列する。
天皇、皇后両陛下は17日午前、政府専用機で羽田空港を出発された。即位後初の海外訪問となる。両陛下は現地時間の17日午後、ロンドン郊外の空港に到着。同市内のホテルに滞在し、19日の国葬に参列される。

英国の女王エリザベス2世が2022年9月8日、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。在位70年7カ月は歴代の同国君主で最長。第2次世界大戦後の英国史のほぼ全てを見守り、亡くなる直前まで精力的に公務をこなした。
女王は1926年、後の国王ジョージ6世の長女として生まれた。国王が52年2月に急死すると、25歳という若さで女王に即位。在位期間は世界の存命中の君主でも最長だった。6月には在位70周年を祝う祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が行われた。