英BP、カーボンオフセット開発の米社買収

【ロンドン=篠崎健太】英石油大手BPは16日、カーボンオフセット開発を手掛ける米ファイナイト・カーボンの株式の過半数を取得したと発表した。金額は明らかにしていない。BPは2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、化石燃料事業への依存を脱却する方針を打ち出している。今回の買収も低炭素分野を収益源に育てる戦略の一環だ。
カーボンオフセットは温暖化ガス削減の目標達成に限界がある企業が、森林開発に投資したり再生可能エネルギーを利用したりすることで、自社の排出量を間接的に相殺する手法を指す。
ファイナイト・カーボンは二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の土地所有者を対象に保全や再生を支援し、生み出された排出枠の売却につなげる事業を展開している。米国で現在50件の開発案件を手掛け、BPによると森林カーボンオフセットの開発会社としては米最大だ。30年までに森林所有者に10億ドル(約1030億円)の収入を生み出すことをめざしている。
BPは19年にファイナイト・カーボンの親会社に500万ドルを投資していた。買収後は18年に設けた社内の新事業開発組織「ローンチパッド」に迎え入れ、事業拡大を加速させる。
気候変動対策で各国で温暖化ガスの削減目標を引き上げる動きが相次ぎ、排出量取引の相場は上昇が続いている。欧州では指標の一つである先物が15日にかけて連日で過去最高値を更新した。
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