/

ドイツ、米説得へ譲歩案検討 独ロパイプライン計画

米副大統領時代にベルリンを訪問したバイデン氏㊧とメルケル独首相(13年2月)=AP

【ベルリン=石川潤】ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」に反対する米国を説得するため、ドイツが譲歩案を探り始めた。米国は欧州向けのガスの経由地であるウクライナの立場が弱まることを強く警戒している。懸念を和らげるため、ロシアが強圧的な動きに出た場合にノルドストリーム2を停止する仕組みの導入などが検討されている。

「ガス分野でロシアとどのような関係であれば受け入れられるのか、我々は話し合わなければならない」。バイデン米政権が発足した翌日の1月21日、メルケル首相は記者会見で懸案解決への意欲をいち早く示した。それから約1カ月、独メディアなどによると、政府内で具体的な譲歩案の検討が始まった。

ノルドストリーム2建設のためのロシアの特殊船(1月)=AP

ノルドストリーム2はバルト海を通って独ロを直接結ぶ全長1200キロのガスパイプライン計画だ。すでに9割以上が完成しているが、ロシアへのエネルギー依存が強まるとして米国や中東欧諸国などが反対している。

米国はこれまで計画に参加する企業や個人への制裁を打ち出し、パイプラインの完成を妨げてきた。メルケル首相と激しく対立したトランプ前大統領だけでなく、バイデン大統領も「欧州にとって悪いディール」と厳しい姿勢をみせている。

もっとも、米欧の同盟再建を重視するバイデン氏とならば交渉の余地があるというのがドイツ政府の見立てだ。米国を納得させるための譲歩案として、ロシアの動き次第でノルドストリーム2を停止する仕組みの導入案が浮上してきた。

ノルドストリーム2が完成すれば、ガスの通り道としてのウクライナの重要性は大きく低下する。その場合、ロシアが対立するウクライナへの圧力を一気に強める可能性がある。ロシアをけん制するため、対抗措置を事前に用意しておくというわけだ。

もっとも、法的な裏付けやガスを止める条件をどうするかなど、課題も多い。ドイツがノルドストリーム2の建設を後押ししてきたのは、脱原発・脱石炭を進めるなかで安いガスを安定的に手に入れるためだ。頻繁にガスが止まったり、ウクライナがドイツのガス調達に大きな影響力を持ったりする事態は避けたいのが本音だ。

米議会では共和党だけでなく民主党にも独ロのガス計画に反対する動きが広がっている。ドイツ政府はバイデン氏が議会に説明するのに十分な材料をそろえる必要があり、より踏み込んだ譲歩が求められる可能性もある。

問題を複雑にしているのが、プーチン政権の強権化だ。ロシアは反体制派指導者のナワリヌイ氏を実刑にし、抗議集会の参加者への弾圧を進めている。ロシアと欧州は外交官を互いに追放するなど、対立を深めている。

ロシアが態度を改めない限り、ガス計画を進めるドイツは孤立するばかりだ。米国や中東欧のほか、フランスなどのほかのEU(欧州連合)加盟国、欧州議会なども疑念を深めている。ガス計画への反発が強まれば強まるほど、米国も妥協に応じにくくなる。

ドイツは9月に連邦議会(下院)選挙を控えている。選挙後には、世論調査の支持率が2位でノルドストリーム2の建設に反対する緑の党が政権入りするとの見方が多い。選挙前に問題解決の道筋を示せるかも焦点になる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン