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ウクライナ市民累計7000人超死亡 国連「実際はもっと」

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【フランクフルト=林英樹】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は16日、昨年2月のロシア軍による侵攻以降、ウクライナで計7000人超の市民が亡くなったと発表した。死傷者の大半は重砲による砲撃やミサイル攻撃、空爆によるものだった。戦闘地域での情報収集が遅れていることから、OHCHRは「実際の死傷者数はもっと多い」とみている。

OHCHRは昨年2月24日から今年1月15日までに民間人7031人の死亡を確認した。このうち7%の495人はロシア軍が実効支配する地域での犠牲者だった。負傷者数は1万1327人に上った。

民間人の犠牲は増加傾向にある。14日に発生した、ウクライナ東部の主要都市ドニプロの集合住宅に対するロシア軍のミサイル攻撃について、ウクライナ政府は16日、子供3人を含む40人が死亡したと明らかにした。依然として30人以上が行方不明のままで、民間施設へのミサイル攻撃としては侵攻以来、最悪の被害規模となる見通しだ。

欧州連合(EU)議長国であるスウェーデンのクリステション首相は16日の記者会見で「民間人の意図的な攻撃は戦争犯罪だ」とドニプロでのミサイル攻撃を非難した。一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は同日「民間インフラを狙った攻撃はしていない」と反論した。

ウクライナ空軍によると、ドニプロでの攻撃に使用されたミサイルは「Kh22」だとみられている。旧ソビエト連邦時代に開発され、航空機から空母など艦船を攻撃する際に用いられていた。

地上での利用は想定されておらず、ウクライナ空軍は「同形式のミサイルを迎撃できる兵器は保有していない」として、この間、ロシア軍によって210発以上が発射されたものの1発も迎撃できていないことを明らかにした。

米国防総省がウクライナへの供与を予定している「パトリオット」など長距離の地対空ミサイルで迎撃が可能だという。ウクライナ空軍は16日、地元メディアに対し「ロシアのKh22型ミサイルの備蓄は数百基に達する可能性がある」との見立てを明らかにしており、民間人に被害が及ぶ無差別攻撃が今後も続く恐れがある。

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