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英女王の莫大な富、相続税は免除 新国王が「遺産」継承

【ロンドン=篠崎健太】英国の女王エリザベス2世が死去したことを受け、その「遺産」は王位とともに新国王チャールズ3世へ引き継がれた。宮殿などの不動産や絵画コレクションといった富が対象で、君主から君主へ継承される資産は相続税が免除される。王室に帰属する不動産は多くの収入を生み出しており、その利益は宮廷の維持管理や公務にあてられている。

英日曜紙サンデー・タイムズは5月に公表した英国の富裕者ランキング「リッチリスト」で、女王の個人純資産を3億7000万ポンド(約600億円)と推計した。9月8日に亡くなった地である北部スコットランドのバルモラル城や、東部ノーフォーク州にあるサンドリンガム・ハウスは個人所有の別邸として知られる。

英国では相続税率が40%で、原則として32万5000ポンドを超す部分が課税される。だが君主の遺産相続においては適用が免除されている。私的な所有物とはいえ公的な性質や機能が強いためだ。

王室と政府が2013年に交わした覚書には「君主が伝統的な役割を果たし続けるとともに政府からある程度の経済的独立を保つため、十分な私的資源が必要だ」と明記された。相続税の免除の背景には、代替わりのたびに税負担で目減りしていけばやがて存続が危うくなるとの発想もある。

英王室には個人所有資産のほか、君主に帰属するが独立して運営されている膨大な富がある。ロンドン中心部の目抜き通りであるリージェント・ストリートや郊外のアスコット競馬場のほか、英近海の一部の海底などにも及ぶ。広い意味ではチャールズ国王に引き継がれた富にあたる。

これらの資産は「クラウン・エステート」という特殊法人が管理・運営している。年次報告書によると22年3月期末の保有資産価値が156億ポンド、純利益は前の期比16%増の3億1270万ポンドだった。賃料などによるクラウン・エステートの稼ぎは法律に基づいて国に渡される。その一定割合が「ソブリン・グラント」と呼ぶ助成金として政府から王室に交付され、公務用に還元される仕組みだ。

このほかバッキンガム宮殿やセントジェームズ宮殿、ウィンザー城といった王室施設も国に信託され、政府が維持運営に必要な費用を負担している。

英財務省によると君主は相続税だけでなく、所得や資産の売買差益(キャピタルゲイン)にも納税の義務がない。だがエリザベス女王は1993年以降、一般市民と同じように自発的に納税してきたという。

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エリザベス女王死去

英国の女王エリザベス2世が2022年9月8日、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。在位70年7カ月は歴代の同国君主で最長。第2次世界大戦後の英国史のほぼ全てを見守り、亡くなる直前まで精力的に公務をこなした。

女王は1926年、後の国王ジョージ6世の長女として生まれた。国王が52年2月に急死すると、25歳という若さで女王に即位。在位期間は世界の存命中の君主でも最長だった。6月には在位70周年を祝う祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が行われた。

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